130話 大きな子供vs中二病な8歳とかwwwww
「『食人樹林』がDランクっておかしいだろぉ!?
あれ絶対Cランクはあるぞ!!!!!」
「ぐほぁっ!?」
ギルドに帰った俺は、早速グランさんに飛び蹴りを食らわせた。
畜生、俺の体重が少ないせいであまり威力が乗らねえ!
「おいおい、落ち着けよ……。
あの場所はな、雨季に行くとボートを使うことで簡単に攻略できる。
だからDランクなんだよ!!!」
へっ!?
「ま、まさか俺等は態々攻略が難しい時期に突撃しちまった、てことか!?」
「そうだよ!!!だから止めようとしたんだろうが!」
「理由を言ってくれよ!こちとら死にかけたぞ!?」
「どうせテメェのことだから下準備でもしてるんだろう、と考えてた俺が間違ってたぜコンチクショウ!」
ぐっ、確かに調べてなかったのは俺の落ち度だな…………。
「おい、落ち着けって!」
「そうだよ!」
ギルとシュウが仲裁に入る。
「「………………。」」
なんか恥ずかしんだが。
大人と中身14歳が9歳2人に諌められてるってどゆこと?
「ま、まあ、とりあえず戦利品出せや。」
「ごめん、戦利品つったらパーム油と樹液しかねえ。」
「………………。」
第二次俺氏戦争が勃発した。
「はぁ、はぁ、グランさん、強いな…………。」
「くっ、そちらこそ!」
「「zzzzzz。」」
俺達の戦いは発展し、遂にはチャンバラにまで進化した。
途中で「俺等はついてけねーよ」とか言いながらシュウとギルが寝始めたが。
因みに、グランさんは基本的に高ランクの冒険者にしか人気がないお陰でチャンバラが他の冒険者の邪魔にはならなかった。
つか、そんな子供みたいな大人だから人気がないんじゃないか?
そんなことを考えながら魔手に持った木の棒でグランさんの腹を狙う。
「ハッ!甘い!『ブースト』」
が、その一撃は高速で防御される。
いや、あんた強くね!?
「俺をただの受付だと思うなよ。
これでも怪我する前はBランクだったからな!」
「ファッ!?だったら手加減くらいしろよ!!」
(『マジックガード』!!!)
ピキン、と『マジックガード』が音を鳴らす。
やべぇ、マジだ。この人子供っぽすぎるだろ!!!
「畜生、やっぱりただの『ブースト』じゃお前を倒せないか!」
「いや、何マジになってんだよ!?」
てか観客集まってきたんだけど!?暇だな!?お前等暇だな!?
「皆!『魔喰らい』が久しぶりに戦ってるぞ!」
「おいみろよ、『光童』もアイツと互角に戦っているぞ!」
因みに、『光童』というのは俺の二つ名だ。
戦闘時に『ヘイレン』でいつも光っているかららしい。
「掛けしようぜ掛け!」
「おーけー、じゃ俺が取り仕切る!
さぁさぁさぁ!これから始まるは懐かしの元Bランク『魔喰らい』と期待のDランク『光童』の熱いチャンバラだ!!!!
これから彼らの勝敗について掛けを始めるぞ!
掛けるなら1000メルからな!!」
おい、こいつら手慣れてやがるぜ。
「いけー『光童』!!!!」
「『魔喰らい』!叩き割ってやれぇ!」
野次馬無駄に元気だな。
それはともかく、今はこの試合に勝つことを考えないと。
どうにかして今俺の目の前でニタニタしている糞野郎に棒をぶち込みたい。
「ハハハ、なら俺も掛けるぞ!
アイツの勝利に、5万メルだ!
これなら負けても俺は損しない!」
うわ、汚え。今度は棒を顔面に打ち込みたくなった。
「汚えぞー!」「さすが元冒険者!ケチぃ!!」「モテないぞ!」
「うっせえ!」
思わず野次馬からもブーイング。
ここまできたら俺も全力でやってやろうじゃねえの。
まずは状況整理だ。
一つ目、俺の武器は木の棒一本。
二つ目、木の棒は俺の筋力じゃ振れないため、魔手を使って振る。
三つ目、勝利条件は相手の胴や面に一太刀決めること。
四つ目、あちらが本気を出せば『マジックガード』は割れるだろう。
五つ目、さっき言ってた怪我が原因かどうかはわからないが、あちらはあまり踏み込んでこない
正直、意外と有利だ。
特に五つ目が美味しい。
相手は基本的にカウンターしか出来ないってことだし。
しかも俺は魔手のお陰で遠距離から攻撃できる。
俺は有利な状況に内心歓喜しながら魔手を合成し強力な一撃を放つ。
手加減はなし。
「はあっ!」
「効かねえっ!」
「「「凄えええええ!!!!」」」
クソ、やっぱり防がれるか。
が、距離の分だけ俺は有利だ。
俺が構え直していると、グランさんがニタニタしながら俺を見てきた。
「お前さ、距離の分だけ自分が有利だと思ってねえか?」
「違うのか?」
「ああ。じゃ、ちょっと見せてやる。
俺の二つ名『魔喰らい』の由来である『ベヒモスの加護』を、な。」
『ベヒモスの加護』?どういうことだ?
グランさんの言葉に野次馬もざわめき始めた。
「来るぞ………。」「ホント久しぶりだな。」「昔はちょっとあれに憧れもしたな。」「『魔喰らい』をまた見れるのか……………。」
そんな有名なのかよ。
「なら見せてもらうぜ!ハアッ!」
『ウィンド・ブースト』を掛け、高速で振り下ろす。
それに対してグランさんがしたのは棒でも何も使わず、ただ片手をパーにして上げただけ。
俺が内心混乱していると、グランさんが一言早口で呟いた。
「『魔を喰らえ、暴食の獣よ』。」
瞬間、魔手が何かに喰われる感触とともに、魔手が持っていた棒がカラン、と音を立てながら地面に落ちた。
色々凄そうな『魔喰らい』ですが、ちゃんと弱点はあります




