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121話 金稼ぎ、始動!

『サイクロプスの巣窟』から外へ出た俺達は、一旦ギルドに戻ってきた。

『食人樹林』に行く前にどこかに軽く潜ってみよう、という話になったのだ。


「グランさん。何処か俺等が防具なしでも安全で良い腕試しになりそうな場所ってあるか?」


「そりゃまた何とも答えづらい質問だな………。

ちょっと待ってろ、資料を漁ってくる。」


そういうとグランさんは中に引っ込んだ。

うーん、質問が抽象的だったかな。

次からはもっと具体的な質問をしよう。


内心で反省していると、グランさんがクエストの書かれた紙を持って戻ってきた。



「そうだな、『腐死洞窟』なんてのはどうだ?

モンスターもそこまで強くない。お前等の腕なら十分対処できる。

ただ………。」


「何かあるのか?」


「物凄く汚えんだ。

お陰で行く人が少ないから素材の値段が結構良いんだけどよ。」


ハッハッハ、その程度ならぜんぜん大丈夫だ。

俺等はゴミの中で生きてきたからな。余裕余裕。

元風呂好きの日本人とはなんだったのか。


「そんなことなら大丈夫。

それより、地図ないか?地図。」


「あるぞ。あと、ついでに備考も書いてある。ほれ。」



へえ、意外と広い。

出るモンスターは『ゾンビ』『マッドスライム』『スティンクスパイダー』『レッサーグール』か。

うん。汚い感がヤバイな。


俺が備考に目を通していると、不意にギルが声を荒らげた。


「おい、ロイド。この『腐死洞窟』の奥にある『吸血鬼の洞穴』てなんだ?」


「知らねえよ。グランさん、これは何だ?」


「ああ、『吸血鬼の洞穴』か。

『腐死洞窟』の奥につながっているBランクのダンジョンだ。

ただし、ボスがいないという珍しいダンジョンだな。

確か、ボスがいないダンジョンてのは世界に7つしかねえ。

それはともかく、そこは危険だから行くな。

『エルダーゾンビ』とか『ベルゼスライム』みてえな危険なモンスターがうじゃうじゃと居やがる。」


「成る程。

じゃあ、これから『腐死洞窟』行くからクエスト見せてくれ。」


「さっきも言ったけどな、あまり『腐死洞窟』に行きたがる冒険者がいねえ。だから、クエストが有り余ってんだ。

まずは適当に素材を採取しまくってそれからここで直接クエスト達成した方がいいぞ。」



要するに、

素材をとりあえず沢山採ってきてから、後でギルドで直接クエストを確認、書かれている分量だけ納品てのが手っ取り早くて良い、て訳か。


「わかった。

収納袋を買ってから『腐死洞窟』に潜ってくる。」


「おう。怪我すんなよ。」


「怪我してもロイドの『ヘイレン』があるから大丈夫じゃない?」


「そうだな!」


「くっ、急に謎の緊張が…………。あまりにアテにしないでくれよ…。」


四肢切断とかは治せねえし。


それはともかく、収納袋は商人ギルドの近くにある大通りで買えばいっかな。

出来れば値切ってやりたい。

まあ、150万メルくらいで。


なんか俺の金銭感覚が段々狂ってきているような気がするが、多分なんかの幻想だ。

幻想に違いない。

大事なことなので2回言っておこう。














「お、おお!是非ともその商品を我々の所で売らせて貰えないでしょうか!

ささ、収納袋はどうぞ持って行って下さい。」



……………。

結論から言おう。


石鹸の話を持ちだしたら3秒でタダになった。

まあ、今目の前にいる人はかなりやり手の商人ぽいからいいんだけど。

他の商人は子供だとを知るなり即効で断りやがったからな。

つか、俺の年齢を身長で判断しないで欲しい。絶対あいつら俺を5歳位だと思ってた。

俺は8歳だコンニャロー。


その点、この人は今でこそペコペコ俺にしているが、さっきまでは俺等が冒険者であることをいち早く察して便利そうな冒険用グッズを紹介していた。


しかも他のお客さんにまで同じことをしていたし、稼ぐために命を懸けているのだろう。

孤児院設立という目標が出来た俺にはこういう人と取引をしたいと思う。


だから、


「うん。俺もここで売らせてもらえると有難い。

今はこれしか手持ちがないけど、お試しってことで売ってみて欲しい。

あ、これに関しては代金はいらないから。

売れないかもしんないしな。

後でまた納品させてもらう。あ、家は〇〇番地の白い家な。」


一応家も言っておこう。

つーか、もし俺が詐欺師だったらこの人大損だったよ。

稼ぐことに盲目すぎるからそこが心配だな……………。


「あ、アソコの方ですか!

節約魔術師(エコノミーマジシャン)の一味』となれば……。

まさか!煙玉製作者であるロイド様ではありませんか!?」


その瞬間、客のうち何人かががビックリして俺を見た。

なんだこれ。何だ、俺有名人だったのか?


「凄いな。わかるのか。

でも、煙玉は売らないぜ?アレはギルドでしか売らない決まりにしたから。」


「大丈夫です。石鹸を売っていただければ私はそれ十分ですから………。」


「そう言ってくれると有難い。

じゃあ、まだ石鹸を納品してない時から言うのも難だけど収納袋はもらっていくぞ。」


「わかりました。では。

これからも、なにか御用があれば私の所へおいで下さい!」


商人さんはそういうと踵を返してお客さんの相手をし始めた。


「ロイド。『腐死洞窟』、行こうか。」


「そうだな。」


収納袋を携えて、俺達は地図を頼りに『腐死洞窟』へと向かった。

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