102話 何気に財力がチート気味だった件wwwww
疲労が回復した後の皆の動きは実に迅速だった。
「『解体』『解体』『解体』『解体』!!!!」
特にシーフの兄ちゃんが凄い。
解体用の必殺技を使って物凄い勢いで『エリートホブゴブリン』の死体をバラしていく。
あの死体って爺さん、リーユさん、俺の最大火力ぶつけた筈なんだが。
解体された素材を見た感じ、あまり傷が見当たらない。
エリートホブゴブリンの耐久がそれほど凄かったのか、兄ちゃんの腕がいいのかどちらかか?
いや、どちらもか。
よく見ると兄ちゃんは素材の中で傷がある所は意図的に取り除いている。
良質な素材のほうがギルドでは多めに換金してもらえるし、こういうちょっとした工夫によって多めに稼ごうとしているのだろう。
効率的だね。素晴らしい。
「よっし!終わったアアア!!!!!」
俺が感心している間に解体は終わったらしく、兄ちゃんは諸手を上げて万歳をしていた。
その横でリーユさんが『収納袋』に素材を突っ込んでいる。
よく素手で掴めるなあんなグロい物。
俺の場合、怖くて魔手で掴んでいる。
流石俺、ヘタレすぎる。
頭のなかで『これだから最近のw(ry』とか流れてきたが、気にしない。
リーユさんが最後の素材を突っ込んだし、ここから出よう。
そう俺が考えた途端、ボス部屋の端が青白く光った。
「っ!?」
俺は思わず身構えたが、それを爺さんが止めた。
「ふぉふぉふぉ、安心せい。
あれはダンジョンの外にでる為の転移魔法陣なんじゃがの、ボス部屋の討伐者が「ここから出よう」と考えた途端に現れるものなのじゃ。
ここのボスを討伐したのは小僧じゃから、大方「ここから出よう」等と
考えたのじゃろう?
さて、それはともかく早くここを出ようではないか。
さっさとギルドで換金を済ませて酒にありつきたいしのぅ。」
へえ、凄え仕組みだな。
俺はてっきり入ってきたドアから帰るんだと思っていた。
転移魔法陣があるなんて有難すぎる。
「お爺さん、その歳で酒ばかり飲んでるとぽっくり逝っちゃうわよ?」
「そう簡単にはくたばらんわい!わしが死ぬのは戦場でじゃ!」
「普通なら「死ぬならベッドの上で。」だと思うぞ私は…………。」
「ふぉふぉふぉ、そんな耄碌爺の戯言などワシは吐かんぞ。
冒険者として生きるからには最期まで戦い続けてやるわ!!」
「そうね、じゃあ戦場で死ぬまで生きるためにお酒は控えることをおすすめするわ。」
「私もだ。それに酒のせいで私達の財布ががどれだけ窶れることか……。」
「じゃから酒ごときではくたばらんと言ってるじゃろう!?
それに酒代は全てワシの懐で収まってるはずじゃぞ?」
俺達(ただし3人)は雑談をしながら転移魔法陣に乗った。
「次の方どうぞ!」
受付のチャンネーに促され、俺達は収納袋から素材を出し、ギルドカードとともに提出した。
「エリートホブゴブリンとホブゴブリンですね。
少々お待ちください。」
おお、仕事がテキパキしている。
流石、何処かの目付きの悪い誰かとは違う。
あっちは仕事中に雑談を混ぜてくるからな。
まあ、偶に有意義な話を聞けたりするんだが。
「こちらが報酬になります。」
5分ほどで戻ってきたチャンネーは笑顔で金の入った袋を差し出す。
「ありがとう。」
リーユさんはそれを手早く懐にしまい、換金を待つ冒険者の列から抜ける。
因みに、金の枚数をいちいち数えたりはしない。
そうすると行列の回転が遅くなるし、
何よりも冒険者がギルドを信用しているからである。
「さて、今日の全員の取り分を決めるとするかのぅ。」
受付から離れた所で、爺さんがそう切り出す。
リーユさんは無言で懐から袋を出し、爺さんに渡した。
爺さんは素早く金貨を数え始める。
「今日の稼ぎは78万メルじゃな。
そうじゃな、一人16万メルかのぅ。
じゃが、ちと足りんな。誰か辞退する奴はおるか?」
因みに、この世界では誰でも計算ができるわけではない。
流石に足し算と引き算は誰でもできるが。
「なら、俺は少なくていい。
正直、今回は俺のミスのせいで皆に苦戦させちまったからな。」
シーフの兄ちゃんが手を挙げた。
しかし、俺もその後に手を挙げる。
「いや、ここは俺が。
こちらは連れて行って貰った側なのに正当な報酬を貰うなんて可笑しいからな。」
それに、あんまし金には困ってない。
いざとなれば煙玉のレシピを売ればいいし、石鹸だってあるし。
「それに、兄ちゃんは今日大怪我を負ったり大変だっただろ?
正当な報酬は貰うべきだ。」
「………………………。
そう、だな。
わかった、有難く頂くことにするぜ。
爺さん、そういうことで計算してくれ。」
「そうじゃな、では小僧以外は16万メル、小僧は14万メルでいいかの?」
「「「了解。」」」
金を配分し終えた俺達はその場で解散した。
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