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95話 安定した生活(笑)

いやはや、我ながら美しいレベルの悪運だぜ。

なんだよ、上級悪魔って。先生より強いじゃねえか。


『カッカッカ、我に恐怖したか。まあ、無理もないだろう。

なにせ我はこの世界でも有数の上級悪魔だからな!』


そう高笑いをあげる上級悪魔。

いや、マジでヤバイって、これ。

絶対俺、恨み買ってるよな?

つーことは俺、襲われるんじゃね?

マズイマズイマズイ。

しかも、完全にイグニス達は驚愕で固まっている。

助太刀無しかよ、絶望的にも程がある!!


『さて、本来ならば貴様をこの場で消し炭してやりたいところなのだがな。

生憎さっきまで呪いとして存在していたせいで我も弱体化している。

ここは一旦退いてやろう。

ただし、準備ができ次第貴様を殺しに行ってやる。感謝するが良い。』


「はい!?」


いや、ちょっと待て。

最後の一節まで喜びであふれていた俺の感動を返せ。

何が『準備ができ次第貴様を殺しに行ってやる。』だ。

全力でお断りさせて頂くぞ!?


『という訳でさらばだ!文字通り首を洗って待っているがよい!』



―――――――――ドピュン☆



うわあ、飛んでったよ。


………………。

後でギルドに報告しておいたほうがいいかもしれない。

『上級悪魔』という響きからしてヤバイオーラたっぷりだし。


とりあえず、最終的には気絶したイグニス達を起こそう。

俺は『アンチスタン』を使用した。


もう既に見慣れた光が三人を包む。


「「「!?」」」


三人同時に目が覚めたようで、言葉にならない声が同時に部屋に響く。

が、その中で一番立ち直りが早かったのは案の定執事さんだった。


「あの、ロイド様、『上級悪魔』は何処へ…………?」


流石。この人、マジで凄いと思う。


「『上級悪魔』はどうやら一時的に弱体化している様子で、襲ってきませんでした。

力を蓄えるためでしょうか、何処かへ飛んでいきましたよ。」


俺を狙っている、てのは言わないことにした。

追放とかされたくないし。


「左様で御座いますか。

それで、奥様の容態は………………?」


あっ、忘れてた。


「そ、そうだ!妻、妻はどうなっている!?」


イグニスの父さんも動き出した。


そうだな、ちょっと確認するか。

脈を測るために手首を握った。

あ、肌が黒くなくなってる。

体つきもさっきまで骨と皮みたいな感じだったが、今は普通に戻っている。

それに非常に穏やかに寝てるし。

死んでねえよな…………?


俺は若干ビビりながら手首を握った。



―――――――――トクン。トクン。



「生きています!一時的に疲労で体調不良を起こすかもしれませんが、

大丈夫だと思いますよ!」


俺が叫ぶと、イグニスの父さんが膝から崩れた。


「ああ、良かった。本当に良かった…………。」


おい、男泣きしてら。

自分の妻のためにここまで泣けるとか、この人結構いい人なのかな。


「おい、ロイド!本当に母様は生きてるんだよな!?」


「ああ。生きているよ。何なら自分で脈をとってみると良い。」


イグニスは脈をとり、生きていることを確かめたようで、

泣きながらイグニスの母さんに抱きついていた。



「いいなぁ、家族。羨ましいぜ…………。」



こんな風に考えてしまう俺は一体何なんだろうか。

折角家族の再会を皆喜んでんのに。

つか、部外者の俺ってもうあまりこの場にいなくてもいいような気がする。


…………………。

帰るか。

俺はできるだけ物音をたてないようにし、こっそり部屋から出る。

執事さんがすぐに気づいて引きとめようとしたが、

俺は『リフレクトハイド』で姿を消し、屋敷から静かに出て行った。


ふう、いいことしたなぁ。

さて、ギルドに報告を済ませたら家で『光属性・全』を読もう。

上級悪魔から逃げられるくらいの力は欲しいし。


「結局、中々俺って落ち着かねえなあ。」


俺は一人で愚痴りながらギルドへの道を歩いて行った。

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