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プロローグ~実験失敗~

初投稿です。

俺こと雲母信夜(中学2年)は今、ストローの突き刺さった袋を前に突っ立っている。

何故こんなことをしているかというと、


「早く爆発させろぉ」


「何もったいぶってんじゃ信夜!」


俺は我が科学部1番のビッグイベントである「粉塵爆発」の実験をできる事になっていたからだ。

正直中学2年の俺がこんな名誉ある役を出来るとは思ってもいなかった。

これは先輩達が急にテストが入ってくれたお陰でできた状況なのだが、

今日ばかりはテストに感謝してもいいかもしれない。

さて、野郎共が騒いでいるし実験を始めるか。何故野郎しか居ないかだって?

男子校だからだよ。文句あっか。


「よし、じゃあ始めるかぁ」


俺の言葉を合図に一瞬でカーテンが閉められ電気が消された。どんだけ楽しみなんだよ。1年がドン引きしてるぞ。


ここで粉塵爆発の実験方法を簡単に説明すると2つ穴の空いたバカでかい袋の中にアルコールランプを入れて下に小麦粉をひき、小麦粉をストローを使い息で上に飛ばすというものだ。

すると小麦粉が火の周りに浮き爆発する。

安全面を考慮して小麦粉の量は減らしているが、それでもいい眺めだ。

スリルもある。

上手くいくと…ゲフンゲフン失敗すると袋の中で大惨事を起こしてくれるのだ。



前置きが長くなったが、もう始める。アルコールランプに火をつけ、ストローを銜える。そして息を吸い込み、ゆっくりと出していく。息によって舞った小麦粉が火にあたりそして――


爆発した。


爆発した瞬間に「イヨッ日本一!」だの「ファイヤー!」だの変な言葉が聞こえたが無視するとして。

『粉塵爆発』とはいえ、安全面に考慮しているために実質は炎に勢いがついただけ、みたいな感じだ。

よって爆発はせず、炎はギリギリ原型を残している。


本当に綺麗だな、と思う。これを綺麗と言ってしまう時点で俺、やばくね?と思う。

けど、仕方がないじゃないか。綺麗なんだから。

今にも原型が崩れそうな炎が一生懸命踏ん張っている、みたいな。

一瞬脳内で踏ん張っている二次ロリが生み出されたが、デリートした。


ふと、もっと火を間近で見たいと思った。そう思い、少し顔を近づける。

「あ、ズリー」とか何処かから声がするような気がするが気のせいだ。

これは俺の特権だし。

やっぱり近くに行けば行くほど綺麗だ。収まりがつかなくなりそのままギリギリまで顔を近づけた。その瞬間、何かフワフワしたものを踏んづけた俺は、前のめりに倒れた。


――え?


当然バランスを崩した俺は前に倒れるわけで。

そして俺の顔は袋に激突して。

更にその袋の中では爆発が発生している。

俺の顔に袋の穴から炎が飛びかかった。


視界が、赤、黄色、橙で染まる。



「熱イイイイイイイイイイイッッッッッッ」


熱い。すげえ熱い。呼吸も苦しい。でもとにかく熱い。

しかもだんだん体が動かなくなる。これもう乙ったな。どうしようもない。だれか助けてくれよ………………。


けど、俺は燃えながら気づいた。

もう、誰もいない。気配がない。


ハハ、一人で蓑踊りってか。虚しいな。


そうだ、誰か俺のPCに入っているゲームのデータの集大成をネットに

流しておいてくれ。

それだけで俺は救われるから。

ファイルのエロ画像を流さなくていいからな。


死ぬ直前で果てしなくどうでもいいことを考えながら、俺は意識を暗転させた。

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