りそうの世界
憧れていた東京支店への勤務が決まった。
なかなか新しい部屋が決まらず、しばらくはホテルから出勤することになった。
カーテンから漏れる太陽の光が眩しい。
「ん…朝か…」
窓に近づきカーテンを開くと、そこは一面青色の世界が広がっていた。
ガウンをほどいて庭のプールに飛び込む。
目覚めたら出勤だ。
自慢の愛車に乗り込み、エンジンを加速させ、速度は一気にトップスピードへ。
誰よりも早く職場につき、優雅にコーヒーを飲みながら新聞に目を通した。
また、刺激に溢れた1日が始まる。
そんな理想を描きながらも、現実に泊まれるのはカプセルホテルしかない。
~現実編~
隣から響くイビキの音がうるさい。
「ん…朝か…」
部屋を仕切るカーテンを開くと、そこは汗臭い男の世界が広がっていた。
着替えをもって、共同風呂へ飛び込む。
目覚めたら、出勤だ。
自慢の愛車に乗り込み、必死でこぐと、速度は一気にトップスピードへ。
誰よりも早く職場に着いてコーヒーとお茶を作り、新聞を上司の席に置いた。
また、神経を磨り減らす一日が始まる。