教団側の待ち伏せ
この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。
星舟ノア・レムリアの周囲で、空間の歪みが“音”を立てて崩れ始めた。
それは爆発でも警報でもない。
低く、耳鳴りのような振動。
「来るぞ」
ルシアンの声と同時に、ブリッジの照明が一段落ちる。
「エネルギー反応、急上昇!」
「数値が……これ、自然現象じゃない!」
ルーナの指が端末の上を走る。
歪みの中心から、光の筋が一本、引き裂かれるように伸びた。
次の瞬間、それは“門”の形を取る。
「空間干渉型の転移痕……!」
マリアが歯を噛みしめる。
「無貌教団だ。
しかも、これは――」
言い終わる前に、門の内側から“何か”が現れた。
船でも生物でもない。
複数の構造物を無理やり重ねたような、不安定な輪郭。
「うわ、また嫌なデザインのやつ!」
タケルが叫ぶ。
「武装反応あり! でも――撃ってこない!?」
「違う」
ルシアンは即座に理解した。
「これは攻撃じゃない。
探査だ」
その瞬間だった。
後部ラウンジから、短い悲鳴が聞こえた。
「――憂!」
哲人が駆け寄る。
憂は、その場に立ち尽くしていた。
瞳が、歪みの中心をまっすぐ見つめている。
「……知ってる」
小さな声だった。
「この感覚……
封印の“外側”」
哲人は息を呑む。
「じゃあ、あれは……」
「私を、確かめに来てる」
憂の言葉に、マリアが即座に反応する。
「対象は“力”じゃない。
“存在そのもの”を測っている……」
ルシアンは、静かに決断を下した。
「戦闘準備、段階二。
だが、先に――」
彼は通信を開き、後部へ告げる。
「哲人。
憂を連れて、遮蔽区画へ」
「え?」
「これは、まだ前哨だ。
本命は――必ず、次に来る」
星舟ノア・レムリアは、歪みの中で静かに身構えた。
この事件は、
単なる遭遇ではない。
物語が、次の段階へ踏み込んだ合図だった。
この度は、私の作品を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。読書のお一人でも、心に響いて頂けましたら幸いです。




