表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
碧宙の星のレムリア -The First Story That Vanished-  作者: 久遠 魂録


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

134/144

亀裂の始まり

この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。

星舟ノア・レムリアは、再び航路に乗った。


先ほどまでの異常は、記録上は「未確認接触・短時間」で処理されている。

だが、ブリッジにいる誰もが理解していた。


あれは終わっていない。


「……本当に、行っちまったのか?」


タケルが、誰にともなく言う。


「去った、というより」

ルシアンが淡々と訂正する。

「“十分確認した”という態度だった」


哲人は黙ったまま、前方スクリーンを見つめていた。

星々が流れていく。

だが、胸の奥に、何かが引っかかっている。


――あなたは関係ない。


その言葉だけが、何度も反響していた。


「哲人」


マリアが、静かに声をかける。


「怒ってる?」


「……分からない」


正直な答えだった。


怒りよりも、

切り取られた感じが近い。


「関係ないって、何だよ……」


憂は、少し離れた場所で窓の外を見ている。

哲人の方を、振り返らない。


「憂」


呼びかけると、ようやく彼女は顔を向けた。


「さっきの……あいつの言葉」


「うん」


「俺、本当に関係ないのか?」


その問いは、思っていたより弱く響いた。


憂は、少し考えてから答える。


「“向こう側”から見れば、そうなのかも」


哲人の胸が、ちくりと痛む。


「でも」


憂は続けた。


「私にとっては、違う」


短い一言だったが、確かだった。


タケルが、わざとらしく咳払いをする。


「はいはい、空気重くしない」

「問題はそこじゃねえ」


ルーナが、操作パネルを操作しながら言う。


「教団の動きが変わってる」


「どう変わった?」


「焦ってる」


全員の視線が集まる。


「さっきの接触」

「多分、教団も“観測”してた」


ルシアンが頷く。


「だが、意味を誤解している可能性が高い」


「どう誤解する?」


「憂が“回収対象として確認された”と」


哲人は、即座に言った。


「狙われるってことか」


「正確には」

マリアが言葉を継ぐ。

「奪われる前に、動く」


ブリッジの空気が、さらに引き締まる。


「次は戦闘?」


タケルが聞く。


ルシアンは首を横に振った。


「事件だ」


「世界側を巻き込む形で来る」


憂は、そのやり取りを聞きながら、ふと呟いた。


「……時間がある、って言ったよね」


「え?」


哲人が振り返る。


「“まだ時間はある”って」

「多分、あれは慰めじゃない」


全員が、彼女を見る。


「期限はある」

「でも、今すぐじゃない」


「じゃあ、いつだ?」


憂は、少しだけ目を伏せた。


「私が、思い出した時」


その言葉の重さに、誰も返せない。


哲人は、強く言った。


「思い出さなきゃいい」


憂は、微かに笑った。


「それは、無理」


「どうして?」


「もう、始まってるから」


星舟は、静かに進む。


その先にあるのは、

教団の次の一手。

そして――


誰も知らない形で近づく、マリアの悪夢。

この度は、私の作品を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。読書のお一人でも、心に響いて頂けましたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ