表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
碧宙の星のレムリア -The First Story That Vanished-  作者: 久遠 魂録


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

110/135

未記録

この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。

星舟ノア・レムリアが歪域へ進入してから、

正確に四十三秒後。


ブリッジの全モニターが、一斉に白くフリーズした。


「っ、外部割り込み!?」


ルーナが即座に操作を戻そうとするが、

入力が一切受け付けられない。


「ハッキングじゃない」


マリアが言う。


「これは……

 “向こうから覗かれている”」


次の瞬間、

ノイズの向こうに“構造化された映像”が浮かび上がった。


幾何学的な枠線。

無機質な文字列。

感情を排した色調。


「……財団だな」


ルシアンが低く呟く。


映像の中央に、識別コードが表示される。


《LEMURIA-OBS / PHASE 3》

《非干渉原則:条件付き解除》


「フェーズ3?」


カイが眉をひそめる。


「そんな段階、聞いてないぞ」


「聞かされていないだけです」


マリアは、画面を見つめたまま答えた。


「“観測対象が自発的に核心へ近づいた場合”

 ――その時だけ、

 財団は姿を現す」


ルーナが歯を噛みしめる。


「つまり……」


「私たちは、

 観測される側から、観測に値する側へ移行した」


映像が切り替わる。


そこに映し出されたのは、

この宙域の三次元構造図。


しかし――

一点だけ、明確に“空白”がある。


「データ欠損……?」


「違う」


ルシアンが言った。


「これは、

 最初から存在しないことにされた場所だ」


映像の下に、補足情報が流れる。


《該当領域:原初分岐点》

《当該地点に関する全人格・全履歴は自己封印済み》

《封印者:未記録》


ブリッジが、静まり返る。


「未記録、って……」


タケルの声が、かすれる。


「そんなの、ありかよ」


マリアは、ゆっくりと首を振った。


「あります」


そして、はっきりと言った。


「そうしないと、世界が成立しなかった」


その言葉に、

星舟が小さく軋んだ。


まるで、同意するかのように。


《警告》

《当該領域への接近は、観測者自身の記録変質を招く》


《それでも進行する場合、

 観測責任は当事者に帰属する》


ルシアンは、迷わなかった。


「通信、切れるか?」


「……できます」


ルーナが答える。


「でも、切った瞬間から、

 私たちは“完全に自己責任”です」


「十分だ」


ルシアンは前を見据えた。


「もともと、

 そのつもりでここまで来た」


通信が、遮断される。


再び、ブリッジに静寂が戻った。


マリアは、胸の奥に

かすかな痛みと、懐かしさを感じていた。


理由は分からない。

誰の記憶かも分からない。


それでも、確かに――


「ここで、誰かが」


彼女は小さく呟いた。


「世界を、置いていった」


星舟ノア・レムリアは、

“存在しないはずの場所”へ、静かに進む。


そしてその先で、

いずれ教団もまた、

同じ歪みに気づくことになる。


だがそれは、

もう少し先の話だ。


この度は、私の作品を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。読書のお一人でも、心に響いて頂けましたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ