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少女型兵器が戦う世界でTSする話  作者: 畑渚


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4/10

初任務

 トラックに物資を積み込み、数を数える。過不足はないな、ヨシ!


 運転席へと回れば、すでに助手席でスタンバイしてたヴァイスが、戦術タブレットで情報確認しているところだった。


「ヴァイス、物資の積載は完了しました」


「ありがとうユーディ。他の部隊員も準備ができ次第出発よ」


 こうして俺の、LFになってからの初の任務が始まった。



+++



 初任務は、指定地点での掘削任務だ。そこには希少資源が眠っているとされており、トラックに積んだ掘削機を設置する簡単なお仕事だ。


 エリアの汚染強度は3。つまりは人間でも活動可能なギリギリの汚染状況だ。そんな地域になぜLFである俺達が派遣されるのかといえば、懲罰の意も兼ねていることは明らかだった。


「ルートに変更は?」


「ないわ。このまましばらく直進よ」


 ヴァイスの発言は最低限だった。そこには真剣に任務に向き合うという意思もあるのだろうが、ある種の諦観も見て取れた。

 前線で腕をふるっていたようなLF部隊がこの任務につかされたのは屈辱でしかないのだろう。特に隊長機であるヴァイスは、他のLF部隊には搭載されていないような機能が搭載されている。そんな機能を全否定するかのような任務だ。


「アリス、道に異常は?」


「ないよ〜。順調も順調!」


 アリスを含む他の部隊メンバーは、俺達のトラックに先行して偵察をしてくれていた。安全レベルとはいえ汚染地帯であることには変わりない。確率も低いが、ドゥエラーの襲撃だってあり得る。


 横目にヴァイスの様子を見る。彼女はマップやタブレットをひっきりなしに確認しながら、行動計画を微調整し続けていた。それは働く意欲を削がれてないように一見みえるが、特にやることがなくて暇をしているということが裏に隠れているのは明らかだった。


「ヴァイス、暇ですか?」


「無駄な口を挟まないで」


 雑談がてら世間話でもと思ったが、そんな気分ではないようだった。

 俺は諦めてハンドルを握り直す。トラックの運転はあの一件が脳裏をよぎるので緊張したが、無事何事もなく指定地点までたどり着くことができた。



+++



「設置完了だよ~」


「了解、では起動するわ」


 手早く掘削機の設置を終わらせた俺達は、試運転も兼ねて機械の電源を入れた。


 唸りを上げて動き出す掘削機。口頭で話すのは難しいくらいの騒音だ。


「起動を確認。問題もなさそうね。帰路につくわ」


 部隊回線で直接話しかけてくるヴァイスに、皆頷く。初任務が無事に終わろうとしていたその時だった。


「っ!総員戦闘態勢!」


 ヴァイスが叫ぶと同時に、複数の唸り声が場を満たす。

 ドゥエラーたちだ。掘削機のだす騒音に異を唱えるかのように、洞窟の出口を塞いでいる。


「ヴァイス……?」


「左右に展開……、殲滅しなければ明日はないわ」


 じりじりと距離を詰めてくるドゥエラーたち。それはまるで、俺達をなぶり殺す未来に舌なめずりしているかのようだった。


「攻撃開始!」


 俺は指示のとおり、構えた銃のトリガーを引いた。鉄の塊が唸り声を上げ、敵を穿つ。

 しかし、後方任務なこともあり高度な装備を持たされていなかった俺達の抵抗は、あまり効果を発揮しなかった。


「ヴァイスちゃん!しっかりして!」


「展開は間違い?でも集中突破しきる火力なんて、けど……」


 ぶつぶつと言い淀むヴァイスに、部隊員も困惑してしまっている。




 やられる……?こんなところで?




 せっかくの第二の人生だというのに、こんなしょうもない戦闘で命を落とすなんて、もったいないにもほどがある。


 それに、俺にはやるべきことがある。そのためにも、今ここで誰一人犠牲を出すことは許されない!


「宣言する。ヴァイス、指揮権を渡せ」


「なっ、ユーディ?あなたに指揮モジュールがあるわけ」


「私は新型だ。高機能なのがついてる」


 そういうことにした。実際にあるのは平凡な人間の脳だが、エラーを起こしている電脳よりかはマシだ。


 システムが指揮系統を書き換える。隊員の状況が視界端に表示され、部隊を動かす細かいコードが眼の前を走る。


「総員、眼の前のドゥエラーを排除する。俺の指揮に従え!」


 人間のときはタブレットを介してしか送れなかった指示が、この体であれば思考するだけで自動でコードに変換され送信されていく。

 つまり俺の思考と指揮とのラグはない。最高の気分だった。


 戦術マップにて部隊員が細やかに陣形を変える。

 敵を表す赤い点が徐々に減っていく。


 と同時に弾も尽きていく。リロードのカバーに入り、なけなしのグレネードで敵を吹き飛ばし、工具すら武器として使う。


 弾がなくなるのとドゥエラーたちがいなくなるのとは、ほぼ同時だった。


「はぁ、はぁ」


 ないはずの肺が締まるような気分になる。電脳部分が焼ききれそうだった。

 深呼吸のふりをして冷却モジュールをまわし、息を整える。

 そして、すぐそばに座り込んでいるヴァイスに手を伸ばした。





 戦闘中無口だったヴァイスが、ゆっくりと口を開く。




「し、指揮官?」




 やっべぇまっずい。



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