発表会の警備計画の確認 5
「お互いの力を確認したところで、依頼の話をしていきましょう」
「……私が聞いているのは、ここで行われる新薬発表会とその後開催される討論会の護衛と警備に関してのアドバイスということだけど?」
ルーチェの言葉に、ヴォルティチはゆっくりと、大きくうなずいた。
「その通りです。弊社で開発中の新薬についての発表と、それに伴い新薬と同様の効能がある薬に関して知見のある方々をお招きしての討論会となっています。今回はかなり無理なお願いをして、弊社と同業ですでに名前が通っている製薬会社の研究員の方々に来ていただいております。万が一ということもありますので、各社とコビナレホール側の警備員とで連携して厳重な警備をしていきますが、立場が皆様バラバラですので、統括した方にアドバイスをいただきたかったのです」
ヴォルティチは、時々アナリズの方へと視線を動かしながら、基本的にはルーチェの方へと視線を向けていた。
「なるほど……それで具体的なお話は?」
ルーチェが先に進めるように促す。ヴォルティチは控えていた男へと目配せした。男は部屋の中を移動して、一つの端末を持ってきた。通信端末の倍以上の大きさがあるディスプレイ端末だった。そこにケーブルが繋げられ、四角いものが付けられていた。それをテーブルの上に置いて、男がヴォルティチに合図をした。
「お待たせいたしました。それではご説明をさせていただきます」
言葉に合わせて、男がディスプレイ端末を操作し始めた。四角いものから光が天井に向かって放たれ、空中に映像が浮かび上がってきた。何かの建物の図面なのか、立体的に表示されていた。
「こちらはコビナレホールの図面になります。今回は一階だけでの開催になりますので、他の階は不要になります」
言葉に合わせて、立体映像が切り替わりコビナレホールの一階の図面だけが残された。
「今回はコビナレホールのメインホールで発表会を開催します。ホールへ入るルートは全部で九カ所あります。そのうちステージ側の入口は三カ所、客席の方は正面からの入口は二カ所、ホール側面にある廊下を通る入口は左右二カ所ずつあり、四カ所になります」
説明の流れに沿って図面上に光点が打たれていった。ステージ側、客席の正面入口、側面入口でそれぞれ異なる色が光った。点滅のタイミングも場所ごとに変えられていた。
「ここからは警備体制になりますが、この出入口すべてに警備を配置します。もちろん、重点的に配置されるのは客席側になります。何らかの問題が起こるとしたら、来場したお客様の方からと考えられます。また、ステージ側は入れる人間は身分が確認された人しか入れないようになっています。そのため、ステージ側の三カ所の入口には各一人ずつ、客席側は各二人ずつ配置します。また、会場内の客席最前列の端に私服の警備を二名ずつ、客席最後列の端に私服の警備を二名ずつ、客席側入口内側に各一名ずつ配置の予定です」
ルーチェは説明を受けながら、図面の光点をじっと見続けている。その横でアナリズが光点を指さしながら、何かを数えていた。




