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押し付けられる 7

「つまり、コビナレ川の近くにあるからコビナレホールって、名前なんですか?」


 アナリズがルーチェの顔を見ながら尋ねてきた。再び、何かが振動する音が響いた。ルーチェは音の先を探すために視線を動かすが、音の出どころはわからない。諦めて、視線を合わせずにアナリズの質問に答える。


「確かに安直だと私も思う。だけど、アナリズ、その認識で間違いない」


「ぼ、僕は別に何も……」


 言いながらアナリズの声がしぼんでいった。ついでに視線も下りていった。その様子を画面越しに見ていたのか、ポラーレが話しだした。


「ルーチェさん、その辺で……。さきほどもお伝えしましたが、今回の依頼は警備アドバイザー兼護衛です。アドバイザーという立ち位置ですので、ファーマエンダ側からも誰かしら警備になれた人間を連れてくるでしょう。ですので、その人たちと協力して対応をしてください」


「……わかった」


「あ、あのぉ……」


 アナリズが二人の会話に遠慮しながら入り込んできた。ルーチェは黙って、アナリズに手の平を向けて話を促す。ぺこりと頭を下げてから、アナリズは通信端末の方へと体を近づけた。


「ポラーレさん。多分、大事かなと思うんですけど……このお話って、いつ行けばいいんですか?」


 前置きをしながらゆっくりと尋ねたアナリズ。その声を聞いたポラーレが小さく、あっ、と言っていた。それをルーチェは聞き逃さず、勢いよく通信端末をつかんで画面を操作する。アナリズが横で何か言っていたが、それは無視する。表示された依頼内容の画面を切り替えていき、やがて日付のところを見つけるルーチェ。


「ポラーレッ! この日付って今日じゃない!」


 腹の底から大きな声を出す。


「おっと! そうでした。そういえば、これるならきてほしいとさっきから連絡が来ていました。ですので、よろしくお願いします。ルーチェさん、アナリズさん」


「ああっもうッ! 行くわよアナリズッ! ポラーレ、依頼主に今から行くって連絡して!」


 ルーチェは通信端末を怒鳴りつけながら、ナイフホルスターを身に着け、ブーツに足を突っ込み、留め具を締める。レザージャケットをつかんで袖を通し、チェストの上に置いたままの通信端末をつかみながら通話を強制的に切る。通信端末から何か声が聞こえていたが、その声もブツリと切られた。


「い、いいんですか?」


「グズグズしない! 早くッ!」


「えーっと、さっき起きたはずなのにどうしてそんな?」


「あーもう!」


 ルーチェはアナリズの腕を強引につかんで歩き出す。部屋から出たところで、オリチェだけがイスに座ってオムライスを見ていた。


「オリチェ! 急遽、依頼に行ってくる! マスターにも伝えておいて!」


「えっ、あっ、はい!」


 オリチェの返事を背中で受けながら、ルーチェはアナリズを引っ張ってピエノパッチを出ていった。


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