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押し付けられる 5

 ルーチェにはアナリズが言外にこれ以上聞くなと言っているように見えている。決して大きい声ではないのに、その言葉は芯から強く言いきっていた。


 ポラーレもそれに気づいたのか小さく頷き、手を二回叩いた。


「話を戻しましょう。先ほどのアナリズさんからの質問、お仕事ですが――」


 話しながらポラーレは通信端末を操作しだした。すぐに、電子音とともに何かのデータがルーチェの通信端末に送られてきた。ルーチェは通信端末を手に取り、通話からデータの確認にうつる。そこには依頼の内容が書かれていた。依頼主は——。


「ファーマエンダ!? なんでここから? 大手の製薬会社から?」


「ルーチェさん。通信端末を元の場所に」


「ああっ、わかった」


 言われ、通信端末をナイフホルスターの所に戻す。ルーチェは動揺しながらも通信端末の画面を見る。画面はすぐに通話の状態に戻った。ブッブッと何かが振動する音が聞こえてくる。ルーチェは耳だけは反応したが、誰も音には反応を示さなかった。


「さて、データは送りましたが、話をしやすいように改めてこちらで表示しなおします。依頼主はファーマエンダのヴォルティチさん。アバラックバーイア支社の上役です」


 画面が変化し、書面が映し出された。どこかの会社が作りそうな固い書面。その最初の所に依頼文と書かれ、その下にポラーレの名前と、ファーマエンダのヴォルティチの名前が続いていた。その下には依頼内容と書かれていた。


「依頼内容は、今度ファーマエンダが主催する新薬発表会とそれに伴う公開討論会の警備アドバイザー兼護衛役、と書かれています。討論会にはファーマエンダ以外にも、製薬会社のコンビナジオとプリスクライズからそれぞれ研究員が参加されるようです。ルーチェさん。アナリズさんと一緒に受けていただけますか?」


「……きかせてほしい」


 ルーチェは画面に表示されている依頼文を読みながら尋ねる。


 なんでしょう、とポラーレの言葉を受けて、ルーチェは続けて話す。


「なぜ、ファーマエンダから依頼がきた? それとこの依頼は私とアナリズでいいのか?」


「一つずつ、お答えしていきましょう。まずはファーマエンダからの依頼があったのは、一度ではありません。先日の廃ビルでの行方不明者捜索とその保護。あれはファーマエンダからこちらに依頼があったものです」


「あの人捜しが?」


「はい。行方不明者がどのような人だったかについては、こちらも教えていただいていません。ペルデさんとお話ししていた時に、彼は直接依頼を受けたといわれていました。もしかしたら、詳細をもう少しご存じかもしれません。教えていただけるかは別の問題ですが……。

 もう一つの質問ですが、依頼を受けてもらうのが、ルーチェさんとアナリズさんでいいのかについてですが、ファーマエンダ側からルーチェさんをご指名いただいたので、問題はありません。アナリズさんについても、ルーチェさんと一緒にいく形でお伝えすれば問題はないかと思います」


 画面は書面のまま、ポラーレが息をついた音が聞こえてきた。


 そして、さらに続けられた。


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