二人目の追うもの 7
なだめるようなマスターの声。それに対してオリチェがどんな行動をとっているのか。今のルーチェの位置からは何も見ることができない。チェストの横に置かれていたブーツに足を通していく。硬めのブーツに足が包まれていった。
ルーチェは足を何度か動かす。それを見て小さく頷く。コツコツと音を立てながら、部屋から出るルーチェ。
「そんな大人の責任なんてないです! アナリズだって子どもじゃないでしょ!?」
オリチェはマスターに右手で胸倉を強くつかみかかっていた。マスターはそれを払いのけもせずに受け止めていた。
「オリチェちゃぁん。それでもよぉ……」
マスターの声は穏やかなものだった。そして、にっこりと微笑んでいるのが見える。
「で、でもぉ……」
「大丈夫よぉ。帰ってくるからぁん。オリチェちゃぁんはお留守番しててぇん」
ゆっくりとオリチェの手に自らの手を添えたマスター。そっと力を入れて、やんわりとその手を動かした。抵抗はないようで、あっさりとつかんでいた胸倉から手を離していった。マスターが手を離したと同時に、オリチェの手がだらりと垂れ下がっていった。力を入れようとすらしていなかった。
そのオリチェにマスターが抱き着いた。力強くというよりも先ほどと変わらず、柔らかくふんわりと包み込むように。そして、背中に回した手で何度か軽く叩き、さすっていた。
「みんなで帰ってくるからぁん。待っててねぇん」
話し終えたマスターがオリチェからスッと身体を離した。
「ルーチェちゃぁん、ポラーレちゃん。いきましょぉ」
その言葉を合図に、マスターが階段へと続くドアへと向かっていった。
「それじゃ、いってきますね。オリチェさん」
「見つけたらすぐ戻ってくる」
ポラーレとルーチェがそれぞれオリチェへと言葉をかけた。
「……あっ……はい。気を付けて」
オリチェが言葉を詰まらせながら見送っていた。
リビングとは違う空気が流れ込んできた。ルーチェは流れてきた空気の方へと視線を向ける。そこにはドアを開けて立っていたマスターがいた。
ルーチェはそのドアをくぐり抜ける。




