二人目の追うもの
ルーチェはポラーレの方を見ながらたずねる。ポラーレは自分の通信端末を取り出し、操作を始めた。何かを確認しながら、口を開いた。
「その辺りはわかりません。こちらも名前を教えてはもらっていないので」
「……そう」
ルーチェは自分の通信端末に目を落とし、操作を続ける。
「他にデータはない、か」
「みたいねぇ。となるとぉ、外で起きてる事件とぉ、このお薬の関連をぉ、きくしかないわよねぇん?」
マスターがデータを指差しながらいってきた。ただ、その視線はポラーレへと向けられていた。ポラーレもそれに気づき、小さく頷いた。
「そうですね。ヴォルティチさんに確認するのが最優先、になりますか」
ポラーレはヴォルティチに連絡をとるために、通信端末を操作し始めた。しかし―—
「……話し中のようです。つながりません」
「まぁ、そうかもしれないわねぇん」
マスターがディスプレイへと目を向けた。いまだにニュースは街中で暴れまわっているアルテファットを映していた。
ルーチェはそのニュースを見てから、自分の通信端末とマスターが用意したディスプレイ端末の接続を解除する。空中に浮かんでいた画面がすっと消え失せた。マスターにディスプレイ端末を渡した時だった。
「そういえば!」
マスターの下にいたオリチェが大きな声をあげた。あまりの大きな声にルーチェとポラーレが何事かとオリチェを見る。オリチェの上にいたマスターは耳を押さえていた。
「いきなりどうしたのぉ!? オリチェちゃぁん!」
「すいませんマスター! アイツ、知りませんか?」
「アイツってぇ?」
オリチェの突然がいきなり言い放った言葉に、マスターはオウム返しのようにたずねていた。オリチェがマスターの下から這い出て、立ち上がった。
「アイツですよ! アナリズ! 起こしに行くっていってました。マスターもいきなり起こされたって!」
「あぁん。そういえばぁ、アナリズちゃんにドア越しに起こされたわねぇん。先に行くってぇ言ってたような気もしたけどぉ、言われてみたらここにはいないわねぇん」
マスターがリビングを見回し始めた。
「ルーチェちゃぁんやポラーレちゃんは知ってるのぉ?」
首を横に振るルーチェ。
「こちらもルーチェさんと同じでわかりません。起こしに行くといって出ていったのは事実です。その時にオリチェさんが止めていました。……ああ、確かキャンビアとも通話していましたね」
通信端末を操作して通話履歴をマスターに見せたポラーレ。それを見ながら、マスターがしゃべった。
「結構時間経ってなぁいい? 起こしに来ただけだったらぁ、とっくの昔に戻ってきてるわよぉ」




