第2話:異世界でまさかの指揮官任命!?
パンツはパンツでもいろんなパンツありますよね。
私はボクサーパンツ派です。
――パルメリア帝国 首都・インペリア。中央宮殿・謁見の間。
絢爛豪華な玉座の間には、金と紅のカーペット。
だが、その中央に立つ俺はというと――
ボロ布を巻きつけただけの乞食みたいな服と、腰の拳銃SFP9のみという異常な出で立ちだった。
「……貴様が、例の“転界者”か」
玉座にふんぞり返る男がこちらを見下ろしている。
彼こそ、パルメリア帝国 皇帝・マグナ・ヴァルツ三世。
「はい。東雲一希と申します」
「ほう……聞き慣れない名前だな。お前の名前は今日から"一”だ」
「お前は銭婆か!」
玉座の左右に控える重臣たちは、俺をジロジロと見ている。
「それにしても……その格好」
今の俺の格好はボロキレの布を着ており、ホームレスのような状態であった。
「いや!これはそこの女性の方がこれを着ろって言ったんです!」
そういうとミレリアはびっくりした様子で反論した。
「私のせいなのか?!こ、皇帝!これは理由があって!」
ミレリアは皇帝に言い訳を話そうとした時。
「パンツは流石に履いておるよな」
「履いてるわ!!」
隣で控えていたミレリアがこめかみを押さえる。
「……陛下、そろそろ本題を」
「そうじゃったそうじゃった!」
皇帝が玉座から立ち上がった瞬間、マントに足を取られてバランスを崩し、階段を1段踏み外した。
周囲は慣れているのか、誰も助けに行かない。
こいつ・・・まさかバカイザーか?
「ゴホン……一希よ。貴様には――第七歩兵師団の指揮を任せる」
「第七歩兵師団の指揮……つまり師団長?」
「うむ。パルメリア帝国軍の中で最強だったが、前任の指揮官が腐っておってな」
「今では士気ゼロ、装備ゼロ!完璧に腐っておる!」
「ゼロ多すぎんだろ」
「だが、貴様ならこの部隊をもう一度最強の軍を再び取り戻すだろう!」
「いや、俺は自衛隊の時は幹部ではなかったぞ」
「ここに転生したということは何か神に選ばれ来たのだろう」
「出発は明朝だ!一希、お前の副師団長はミレリアだ、頼んだぞ!」
「か、陛下!こんな変態に軍を託すとは少しどうかと!」
だから誰が変態だ!
「そなたも薄々気づいているんじゃないか、こやつがやると」
「それにあの軍団を救いたいと思っているだろう」
「分かりました……陛下」
「ではな一希……帝国の未来はお主に懸かっておる!期待しておるぞ!!」
俺は少し深呼吸をし、元気な声で答えた。
「了解!」
その瞬間俺のボロキレがパサッと床に落ちていった。
そこにあるのはパンツ一丁の男と困惑した重臣たちとニヤニヤしている皇帝。
そして顔を真赤にしたミレリアがいた。
「へ……変態!!」
こうして俺はミレリアにドロップキックをくらい、部屋から連れ去られた。