1. エドモントンで財布を盗まれた話
私は大学2年生だった2017年に、カナダのエドモントンという場所に留学していました。バンクーバーやトロントなら皆さん聞いたことがあるかもしれませんが、エドモントンと聞くとあまり馴染みがないかと思います。職場の同僚に話の流れで留学していたことを言うと、まず言われるのが
「エドモントンってどこですか?」
という言葉です。ではエドモントンがどこにあるかと言いますとアルバータ州にありますが、そこの州都がエドモントンなのです。バンクーバーやトロントほど日本人が多くないので、勉強に集中しやすい場所でした。このエッセイではエドモントンでのいろいろなエピソードを綴っていきます。
まずはエドモントンで財布を盗まれた話からしましょう。エドモントンに来て間もない頃、私は大学が始まるまでの間はホステルに滞在していました。大学生でお金もなく何もかも無知だったので、大学の国際交流課から勧められた安いホステルを予約しました。同じ部屋にいたのは他の大学から来た日本人の女性数名と、旅行で来ていたオランダ人の女性1名です。
私はちょっとの間お手洗いに行くために、ベッドに財布を置きっぱなしにしていました。すると戻った時には財布がなくなっていたのです。誰が盗んだのかはわからないのですが、ほんの数分で財布がなくなってしまいました。現金はあまり入っていませんでしたが、高校生の頃にお年玉を貯めて買った水色の財布だったこともあり放心状態になります。
取り急ぎクレジットカードを止め、銀行のキャッシュカードや学生証は再発行依頼をしました。ホテルには防犯カメラがなく、証拠もありません。泣き寝入りしたくなかったので、警察に行き被害届を出しました。後に保険会社から1万円程度の補償を受けたのですが、財布は戻ってこなかったのです。油断していた私も悪いので、あれからは貴重品を肌身離さず管理するよう気をつけるようになりました。