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魔物(マンドラゴラ)ってバレたら討伐ですか?~花の魔女はひっそり平穏に暮らしたい~【WEB版】  作者: Mikura
三章

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64.6話 ニコラウス 後編



 浄花の見返りにニコラウスの栄養剤を求めた魔女の要求は、対価として全く釣り合っていないように思える。そんなものでいいのかとしばらく考えて、ニコラウスはふと思いついた。


(もしかして……僕に会いたいのか?)


 現在はビット村に留まっているニコラウスだが、本来は王都にある王城の一室で暮らし、有事の際はいつでも王都から出動、もしくは王都の防衛ができるように待機している。

 今はこのビット村が有事に最も近い。しかし魔物災害を乗り越えた後、平和になったこの村にニコラウスは必要なく、王都へと帰還することになるだろう。……そうなれば、理由もなくビット村を訪れ、魔女に会うことは少なくなる。


(僕が作った栄養剤なら、僕が届ける可能性は高い。……ふぅん、考えたじゃん)


 それに浄花の対価に見合うほどの量となれば、かなりの数が必要だ。ニコラウスが頻繁に魔女の元を訪れる理由にもなるだろう。

 ならば魔女の提案にも納得だ。つまり、彼女は浄花の仕事の代わりに同族と会えるように手はずを整えてほしいのである。そういう交渉ならば難しくはない。国とて難題を押し付けている自覚はあるだろうから、魔女がニコラウスと度々会えるように配慮するくらいの条件は飲むだろう。



「お茶をどうぞ」


「ん……浄花の茶か。この前差し入れに持ってきたけど、これ好きなの?」


「魔女さまが一番好きなお茶です」


「……僕も嫌いじゃないよ」



 魔女が書簡にサインをしている間にノエルが浄花茶を運んできた。花の香りが立ち、滋養もあるという代物で、浄花が溢れるこの村でしか飲めない特産品と言っても過言でない品である。

 ニコラウスが自分で淹れるよりもノエルが淹れたものの方が味わい深く、甘みが出ている。……一般的に流通してもいないので、彼はこれを上手く淹れられるように研究したのかもしれない。従者として頑張っているようだ。


(……おっと、今日は別件があったんだったな。落ち着いてる場合じゃない)


 魔女の家はどうも居心地がいい。室内でゆったりと曲を奏でる鈴蘭や、壁にちらほらと生える音無し草のおかげであらゆる雑音が小さく抑えられており、そして植物の出す空気が清涼だ。

 香りの強い花は魔女本人が身に着けているものくらいで、室内にある他の植物はあまり香らないので、においが強くならないようにも考えているのだろう。実に居心地のいい家を作っている。ついだらだらと長居をしたくなって用事を忘れるところだった。



「それと別件で……僕から一つ相談なんだけど」



 話を切り出すと、魔女はニコニコと笑いながらテーブルの上で手を組み合わせた。興味を持って話を聞こうとしているようで、これならニコラウスも話しやすい。

 さっそく魔女の眷属であるマンドラゴラたちの進化について、その実験をしてもいいかと尋ねてみた。魔女が管理する植物の魔物たちはどれもレベルが低く弱弱しい。だからこそ眷属化できたのだろうし、そのレベルを上げることで支配下から外れるのであれば問題だからだ。


(でもそうしないと、あの変わり者の助手の願いは叶わないだろうし……僕自身、ものすごく興味がある)


 知能のある魔物ならば進化の方向性を自分で選べる。大抵は大きく強くなり生存力を上げることに注力する魔物だが、人間の言語を理解でき、人間と友好的な関係を築いている魔物ならば違う方向へと進むかもしれない。

 つまり、リッターと恋仲になっているほど親しい紫株ならば、人間と子孫を残す方へと進化する可能性がある。……まあ、いくら意思が強いマンドラゴラたちとはいえ、そこまで望むかどうかは不明だが。やってみなければ分からない。


(危険な方向には進まないだろうしな。人間を傷つけることは、魔女が禁止している。……こいつの支配下から外れないなら、危険度は上がらないはず)


 できるかどうかは魔女の反応次第。だが魔女は特に悩む様子もなく、頷いて承諾してくれた。眷属たちのレベルが上がっても、支配を破られない自信があるようだ。……そしてニコラウスの個人的な実験に快く協力し、眷属たちを任せてくれるということは、魔女に不利益をもたらさないと信頼されているということでもある。


(これは、楽しくなってきたな……)


 口角が上がっているのが自分でも分かる。このところ、ニコラウスは笑うことが増えていた。……この世に一人きりでない、ということが分かってからだ。

 以前は何故五百年も放置したのかと怒りに近い感情を持ったこともあったが、それはもうどうでもいい。これだけ普段ニコラウスを気にかけている魔女なのだから、何か言えないような理由があったとしか思えないし、今は同族として大事に思われていることは疑っていない。

 どうせこの世に二人しかいないのだ。この先もずっと、他の人族の誰が死んでも、()()さえなければ自分たちだけは生き続ける。……誰を失っても、お互いだけは失わないでいられる可能性が高い。気にかけて当然である。


(……結局、僕もそうだしな。……まあ、お前も素直に会いたいとは言えないみたいだから、僕が気を遣ってやるか)


 眷属のマンドラゴラたちの研究や、頼まれた栄養剤など、会いに来る理由はいくらでもある。きっとこの魔女もそれを期待しているのだろう。きっとニコラウスが会いに来ることを期待して、快く頼みごとを引き受けているのだ。



「マンドラゴラたちに何かしらの変化があったら共有する。……あと、お前も何か気づいたら教えてほしいんだけど。研究のためにはいろんな意見や見解が必要だからね。……栄養剤はちょくちょく持ってくる」



 会いに来ることを伝えると魔女は嬉しそうに笑みを深めた。……まったく、分かりやすい。ずっと年上の同族は世話が焼けて、そして――会いに来ると知っただけで喜ぶところは、なんだか少し可愛らしいと思った。



ニコラウスは本当にいつも逆……(ギャグ)コメディ…ってコト…!?



そういえばブクマ件数が二万を超えておりまして、二万人も読んでくださっているの…ワァ…ってなってます、ありがとうございます。

ご感想やブクマ評価でたくさん応援いただいて、大変ありがたいです。いつも執筆の励みにさせていただいてます…!


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― 新着の感想 ―
ニコたんが↓↓↓大迷草wデレてますね♪ (もぉ~(*^^*)♪そんなにボクに会いたいんだ!そーだょねぇ♪この世界にたった2人切りの魔族なんだもの!ボク達の関係ゎ特別だょね~?(*>∀<*)なんだょ~♡…
あまりに面白いので、リッターと紫株ちゃんの子どもが生まれ、レオさんとノエル君を看取り、ニコラ君と厄菜ちゃんがラブラブ(恐怖?)な世界旅行(世界中に株繁殖)するまで連載が続いてほしいです❤️
ニコラ君「ホント世話焼きめ!可愛いジャマイカ!」 根菜様「草じゃ無い、草じゃないのよ~~~!?」 レオ「俺の居ない間に急接近だと!?」 ノエル「僕を忘れるな・・・魔女様は渡さない!」 リッター「悪いな…
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