第六話 反撃
ヒデカツたちが話し合っていたのと同じ頃―。
東アクアフィールドの沖を、一隻の軍艦が航行していた。
艦の名は駆逐艦<ワイバーン>。アクアフィールド海軍の主力艦の一つであるこの船は、この地域の各地で活動する過激派の警戒監視にあたっていた。
その艦橋内では―。
「艦長、通信です」
操舵席に座っていたメアリ=スミス一等兵曹が後方にそう伝えた。
艦長席にいたロック=ブリザード海軍大尉はそれを聞いて一つ頷いた。
「内容は?」
「内容はありません。ただ緊急事態を報せる信号が発信されただけです」
「場所は?」
「正確な位置は分かりません。ただ東アクアフィールドにある都市の中から発出されたものと推察されます」
「東アクアフィールドか・・・あそこは過激派の拠点になっているという情報が最近頻繁に入ってきていたな。皆はどう思う?」
ロックはそう言うと、周囲にいた幹部たちを見回した。
「恐れながら」
艦のナンバー2の先任将校であるララ=ストーム海軍中尉が口を開いた。
「この通信は過激派による罠の可能性があります。したがって慎重に対応すべきと考えます」
「いや、それはどうでしょうか?」
艦のナンバー3である次席将校のルイス=シルヴァ海軍少尉が言った。
「過激派は海軍の行動を把握する術を持っていません。今我々がこうして任務を遂行できていることが何よりの証拠です」
「それに」
乗員の管理の責任者であるイザベル=マリナー航海兵曹長が口を開いた。
「例え罠だとしても、我々にはそれに対応するだけの装備と人員があります。過度にリスクを恐れる必要はないと思います」
「今動かなければ通信を送ってきた者だけでなく多くの人々を犠牲にすることになると考えます」
最後にイザベルに次ぐ立場にあるドラゴ=サンダー上等掌帆兵曹が意見を述べた。
「艦長、ご決断を」
「ふむ」
メアリにそう言われ、ロックは少し考え込んだ。
やがて彼は顔を上げ、はっきりとした口調でこう言った。
「分かった、これから過激派を掃討する。すぐ準備に取り掛かれ」
「これでよし、と」
無線機の電源を切りながら、セーラは言った。
「これで通信を受けた海軍の艦船が上陸部隊を派遣してくれる。そして過激派は彼らによって一網打尽になるという寸法ね」
「これで一安心かな?」
ヒデカツがそう言うと、
「いいや、まだよ」
セーラはそう言って机の引き出しから銃を取り出した。そして別の場所から弾丸を取り出すと、それを中に込め始めた。
ヒデカツが呆気に取られていると、セーラが声をかけてきた。
「ヒデカツ、銃は?」
「えっ?ああ、持ってるよ」
「弾丸は?」
「ごめん、宿に置いてきちゃった。込めてあるものだけだね」
「その銃は海軍の標準装備のものね。なら問題なし、私のを貸すわ」
「あ、あの一体何を・・・?」
まだ状況が理解できていないヒデカツに、セーラは微笑んだ。
「察するに、奴らはあなたを海軍の密偵か何かと勘違いしている。だから今必死になって見つけ出そうとしている」
「うん」
「でもあなたを見つけられないと判断した時、奴らは計画が露見したと思ってこの街から逃げ出すかもしれない」
「まあ、そうかもね」
「そうなっては元も子もないから、私たちは奴らをこの街に留めておく必要があるってわけ。さあ行くわよヒデカツ、今から過激派を足止めするわよ!」
一瞬何を言われているのか分からず、ヒデカツは固まった。しかしすぐに理解すると、彼の口から思わず叫び声が漏れた。
「えええぇぇぇ~~~~~~っ!?」