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洋上の戦士たち  作者: ただかた
第四章 逢瀬
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第八話 合流

 それからヒデカツとセーラは、街の中の様々な場所を見て回った。ヒデカツは初めて見る首都の景色が新鮮に映ったし、セーラの方も彼との初めての外出に心躍らせていた。二人にとって、それはまさに至福の一時だった。

 そのようなことをしている内に日はとっぷりと暮れ、夜になった。街のあちこちで街灯の明かりがともり、その下を多くの人々が行き交っていた。


「ふ~ん、この時間になっても街の中心部はまだたくさんの人たちで賑わってるね」


 そうヒデカツが感心したように言った。


「そうね。特に今日は休みだから、家族や友人と連れ立って出かけてる人が多いみたい。みんなそれぞれの休日を満喫しているのね」


 彼の言ったことに、セーラはそう返した。


「そうなんだ。それもこれも、世の中が平和になったからこそできることだよね」

「そうよね。これからもその時間を大切にしていかないとね」


 そう言ってセーラは、ヒデカツの方を向いた。


「それで、どうだった?今日一日私と過ごしてみて?」


 彼女の問いにヒデカツは少し考えた。そしてこう答えた。


「うん。途中色々あったけど、楽しい時間だったよ。見るもの感じるもの全てが初めての体験で、とても面白かったよ」

「私も。ヒデカツと初めて二人きりで出かけて、凄く楽しかった。好きな人と一緒に過ごすことがこんなにワクワクすることなんて知らなかったわ」


 そう言ってセーラは、ヒデカツの腕に手を回してきた。


「これからどうする?ヒデカツ今私服でしょ?その格好なら、これからもっと刺激的な場所にも行けるわよ」


 セーラはそう言うと、いたずらっぽい笑みを浮かべた。

「そうだね。確かにそれも魅力的だね。でも今は・・・」

「今は?」

「後にいる人たちを何とかしないとね」

「ああ」


 そして二人は後方に向かって同時に振り返った。


「というわけで、みんな出てきていいよ!」

「いることは、もう分かってるから!」


 二人がそう呼びかけると、通りに面した建物の陰から、ゾロゾロと六人の人物が現れた。


「あ~あ、とうとう気づかれたわ」

「申し訳ありません。上手くいきませんでした」

「よ、よう。こんな所で会うなんて奇遇だな」

「しらじらしいですね。すいません、私止めたんですけど」

「よく言うよ。自分でも結構楽しんでたくせに」

「やれやれ、結局最後はこうなっちゃうのかぁ」


 ヒデカツとセーラの仲間たちは、口々にそう言った。


「全く、君たちは・・・」

「本当、どうしようもないわね」


 そう二人は、呆れたように言った。


「て言うか、お前らいつ俺たちの存在に気づいたんだ?」


 キューベルがそうヒデカツとセーラに尋ねた。


「ん~、結構前、百貨店にいた時からかな。あれだけ大騒ぎしてたら、誰だって気づくよね」

「それより前から後をつけられている気配は感じてたけどね」


 二人は口々にそう答えた。


「参ったな。そういやお前たち、結構勘が鋭かったな。こりゃ俺の考察不足だな」


 そう言ってキューベルは、頭を掻きながらばつが悪そうに笑った。


「まあ、後をつけてたのは認めるがな。それで、どうなんだ?何せ俺たちは途中お前らを見失ったりして、全てのことは知らないんだよな。どうだったんだ、今日一日?」


 キューベルはそう尋ねた。ヒデカツとセーラは互いをチラッと見ると、声をそろえて言った。


「「最高の一日だったよ!」」


「ふ~ん、ならよかった」


 そう言ってキューベルは、二ッと笑みを見せた。


「そうだ、これから一緒に晩飯でも食いに行かないか?何せ一日中歩き回ったから、今日はもうヘトヘトだぜ」

「そうですね、行きましょう!後をつけたことのお詫びも兼ねて」

「費用は隊長の奢りってことで」

「これだけ騒ぎを起こしたんだから当然ですよね?」

「どうしました、次席将校?」

「いや・・・。そういえば昼から何も食べてなかったな、って」


 そのようなことを話している仲間たちの姿を見て、ヒデカツとセーラはフッと微笑んだ。




 やがて一行は通りの近くにあったレストランに入り、四人掛けのテーブル席二つに分かれて座った。そして、今日一日それぞれの出来事について語り合った。キューベルは百貨店でローラに服を買わされたことを愚痴っぽく語り、ローラはそれに文句を言いつつも何だか楽しそうだった。それを聞きながらアコーとモニカは、二人を最後まで足止めできなかったことに申し訳なさそうな顔をしていた。

 そしてエリーは今日たまたまレイニーと再会したこと、彼女にきちんと謝罪して和解したことを報告した。その後エリーが号泣して大変だったとオリヴァが言った時、彼女は恥ずかしそうにしていたが、どこか嬉しそうに見えた。

 そのような話を一通り聞き終えた後、セーラは隣にいるヒデカツを見た。その顔は、少し複雑な表情を浮かべていた。


「どうしたの?」


 ヒデカツの耳元に、セーラがそっとささやいた。


「うん。何か君に申し訳ないような気がして」

「どうして?」

「確かに今日一日、僕たちはとても幸せな時間を過ごした。そして今も、こうして皆と楽しい時間を共にしている。だけど本当は、最後まで僕と二人きりでいたかったんじゃないかな、って」


 そう言ってヒデカツは俯いた。


「そうね。今のこの時間は楽しいけれど、欲を言えば最後まであなたと二人で過ごしたかったかな。それは少し残念ではあるわね」


 セーラはそう言うと、一度言葉を区切った。


「でもそれはまた別の機会にすればいいじゃない。今日一日、私はヒデカツと過ごしてとても楽しかった。そしてこれからも二人の幸せな思い出をもっと積み重ねていきたいと思っているわ。まだまだ機会はたくさんある。だから今は目の前の事を楽しみましょう」


 そう言ってセーラは、ヒデカツに向かって優しく微笑んだ。


「そうだね」


 ヒデカツはそう言って笑みを返した。そして目の前で賑やかに談笑する仲間たちの姿を見つめた。

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