昼休み
昼休み
果てしなく長く感じる授業から解放された生徒たちの憩いの時間
仲のいい生徒と談笑しながら昼食を取ったり校庭に出てボール遊びをしたり教室でゲームをしたりと各々が校則の範囲以内で楽しんでいた
「………………」
「………………」
そんな昼休みを風兎と冷凪は校舎裏のベンチで二人揃ってFPSゲームを満喫していた
風兎はベンチに腰掛けながら、冷凪は風兎の膝を枕に寝転がりながらプレイしていた
この校舎裏のベンチは何故ベンチが設置されたのか生徒はおろか先生も知らないくらい日当たりも悪く昼間でも暗く若干不気味さを感じる場所の為、生徒は殆ど訪れることはない
そんなベンチを冷凪が入学して間もない頃に見つけて以来、風兎を誘って二人専用の場所としていつもそのベンチにいたのだった
「あっ…後ろから狙われてるわ。ちょい離れるか」
「はぁ?あんたまた頭上げた状態で待機してたでしょ?前にもそれで見つかってやられてるんだから気をつけなさいって言ったでしょ?はぁ…今回もドン勝つは無理そうね…」
「いやいや、そう悲観すんなって……。これから俺の華麗なるテクニックでドン勝つを勝ち取って……!!あっ、死んだわ……」
「ほら見なさい。あんたがそう自信満々にした試合は必ずドン勝つ出来ずに死ぬのよ。いい加減学びなさいよ」
「s、そんな事ないって!!今までだってドン勝つした時も……」
「ドン勝つした時はあんたが画面を親の仇のようにガン見してる時にしかならないのよ。あんたはそもそも試合中は喋らないでくれる?」
「え〜?こうやって話しながらするのも乙ってものだろ?」
「あんたは死んだんだったらあたしの画面見ないであんたの視点から敵がどこにいるか見てなさいよ。あと3組を抹殺すればあたしの勝ちなんだから」
「あたし“達”の勝ちではなくて?」
「屍のあんたはカウントされないわよ…はい。一人やったから近くに敵いないか探し出しなさい」
「へ〜い。え〜っと敵は……あれ?昼休みあと5分もないぞ?早く教室戻るぞ?」
「はぁ!?冗談じゃないわよ!ここまできてドン勝つを置き去りにするとか考えらんないわよ!授業なんて出るわけないでしょ?続行よ続行!」
「いや流石に授業をサボるわけには行く訳ないだろ…。それに続行したってこのターンも10分もないだろ?その後どうすんだよ…」
「だったら次の授業が始まるまで何試合もやればいいじゃない」
「やるか!いいから戻るぞ!!っておい!俺の膝から降りやがれ!!」
「触らないで気色悪い!!先生に痴漢で訴えるわよ?」
「やめろお前!!それ言われたら俺の人生消滅してしちゃうから!!わかったわかったよ……。付き合ってやるからさっさとそのゲーム終わらせてもう一回やらせろよ」
「や、やらせろとか……/な、何言ってんの///こ、こんなところで発情すんなし///!!」
「ち、違う違う!!ゲームの話だからな!?誰が校舎内で襲いかかるかっての!!」
ガサガサッッ!
「!?」
「ふにゃあ!!!?【ガシッ】」
風兎が冷凪にツッコミを入れた瞬間、近くの木陰のほうから物音がした
突然の物音に驚いた冷凪は思わず猫のように飛び上がると風兎の首に抱きついた
「ちょっ!れ、冷凪さん?く、くび……首がじまふぅ!!」
「な…!?何してんのよ!!【バシィ!】」
「ぐはぁ!?」
思わず抱きついてしまった冷凪は風兎の首からすばやく離れると風兎の頬を張り倒した
「いつつつ…ったく、ビビって自分から抱きついてきたくせに張り倒すとかなよな?」
「う、うっさい!!あんただってビビってたくせに!!」
「まぁな〜。それにしてもここ薄暗いから動物の物音でも心臓がキュッと締め付けられそうになるんだよなぁ〜」
「でもおかしいと思わない?動物がその場所でずっとガサガサ動くとは思えないもの…」
風兎達は音がしたほうをジッと見つめるとそろりそろりと木陰に近づいていく
すると物音とは別の音が聞こえてきた
「…………【すっ】」
「…………【コクリ】」
二人は合図して音のする先を覗くと……
「んっ……ちゅむ…ちゅ……はぁ///ゆ、ゆうかちゃん♡ゆうかちゃん♡大好きだよゆうかちゃん♡」
「あぁん♡私も大好きよツヨシくぅん!!ちゅ…ぴちゅ……ちゅむ……」
制服の腕の部分に施された赤のライン
三年の先輩カップルは風兎達同様五限目の授業をサボり、恋人との逢瀬を堪能していたのだった
「「…………【くるり スタスタスタスタスタ】」」
イチャイチャしあうカップル達を目の当たりにした風兎と冷凪は合図も無しに回り右をすると校舎の方は音を出さないよう静かに全速力で離れて行った
因みに授業には滑り込みセーフで間に合ったのだった
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