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前1996後

作者: うなぎ昇再

1年のクラスは下駄箱を通ってすぐ左手にある。


引き戸を開けるとチャカチャカと心地良い音が教室内に響く。


机には既に何人か座っており女子、男子に分かれてそれぞれ雑談を楽しんでいた。


8時20分から10分間は読書の時間、最近のブームは【解決ゾロ○】を読むこと。


狐の主人公とイノシシの子分2人があちこちへ冒険の旅に出る物語。


その中でもゾ○リ母に関するエピソードが特に好きだった。


母子共に主人公とその母にそっくりな家族がいて、ベビーカーに乗る赤ちゃんのピンチから守るきるというのが主な内容だ。


その道中で見つけたお宝に目がくらんで見守りを放棄しようとしかけるも赤ちゃんを優先するゾロ○。


どたばた救出劇を繰り広げる中、奇跡的に手に入れたダイヤが2つあって、1つを赤ちゃんへ渡し「パパとママを大事にするんだぞ」という愛に溢れた言葉を発していたのを今でも鮮明に記憶している。


もう1つもボロボロ一家に渡した彼はとても格好良く、数ある他のシリーズにも思わず目を通していた。


そんな長編の原作は小学3〜5年の期間でアニメ化され、戦○モノ、仮○ライダーの前の当時の顔であった。


○ロリの声優さんは山○宏○さんが演じている。


今から思い返すとあんな有名な方が朝アニメのキャラに命を吹き込んでいたのだと思うと幸せなひと時を過ごせていたんだと感激する。


現在は声優という概念が世間に大きく広まり、メディアにあまり露出しなかった当時とは打って変わって様々な世代が頭角を表している。


ではこれから6限に渡る授業の開始だ。





1限目は算数、掛け算の暗記歌と分数計算がとても苦手でしたね。


いやそれ1年生で習う範囲じゃないのでは?


というツッコミは勘弁してください。


今更いうのも何ですが小学時代、その他の時系列に置いても順序はぐちゃぐちゃです。


とにかく当時印象に残った数々の出来事、物について掘り下げていくつもりですので。





2限目は国語、宿題の漢字ドリルの色鮮やかな書き順ページ、文章題の聞き取りテストは今でも苦手意識を拭えそうにない。


授業中、唯一楽しみであったのが教科書に載った物語を読むこと。


【大きな○ぶ】子供、大人、動物などの個性豊かな登場人物が協力してか○を引っこ抜くまでのお話。


「う○とこしょ、どっ○いしょ」


引っこ抜く時の力強い掛け声が個人的に好きでした。



【オレは○まきり】


主張が激しいかまき○の呟きです。


でも適度にやってくる語尾の「ぜ」がカッコよくてオレ様感を小気味よく演出しています。


【モチモチの○】


男の子のまめ○が一緒に住むおじいさんを助けるために勇気ある行動をするお話。


作中の○チ○チの木に熟れる実はほっぺたが落ちる程美味しいみたいです。(粉末にして団子にする感じ?)


味をイメージしては食欲をそそられていました。


上記以外にも名作が山程あると思いますがここでとりあえず一区切り。





3限目、音楽。


脚立が目立たない四角形の椅子を2つずつ横一列に並べて先生が来るまで待機。


1つは椅子、もう1つは机の役割を果たしていて

方向転換すればどちらにでも機能する。


リコーダーを布製の収納ケースから取り出すと

皆自主練に励み始める。


音楽にも表情豊かな曲達が揃っていて今回の課題曲は【エーデルワ○ス】。


当時、エー○ルワイスって何だろうと謎のまま放置していたけど夏頃に白色の花びらを開花するキク科の高山植物らしいです。


また高山植物全般をそう呼ぶのだとか。


教科書に歌詞と共にイラストが描かれていたはずだが恐らく「花の種類の名前」という認識が無いことから関係ないモノが記載されていたのかもしれない。


その他にも耳に残る印象深い曲はまだまだある。


【魔○】


不安に駆り立てられる旋律、歌詞では刻一刻と死へと誘う病魔の囁きがトラウマなりそうだ。


○王という存在は幻影で実際は父と子のみが登場人物。



【B○lieve】


人と寄り添って未来に曇りなく生きていこうという前向きな歌詞に勇気をもらえる。


よく朝礼でラジカセから流れていたのを復唱していました。


【旅立ちの日○】


小中高問わず、卒業式で鉄板といえばコレ。


大切な仲間とのかつての思い出を心に刻み、

まだ見ぬ世界へ旅立とうというまさに学生達の未来を鼓舞してくれる名曲。





4限目、図画工作。


【ダンボール】


幼少期は何故あーも自分だけの密やかなスペースにやたら憧れたのだろう。


その心情が顕著に表れているのがダンボールハウス。


あの狭い空間は後のぼっち心を育んだと言っても過言ではない。


それを応用して連結した迷路は成人した今でも想像しただけでワクワクする。


そういえば小学何年生だったかはハッキリと記憶していないがダンボール肉ま○というニュースも流行った。


材料の中に紙を加工して混ぜ込んだとかないとか……


どんな心境で作ったのかは謎過ぎる。


【粘土】


工作マ○トの上に油粘土をこねて好きな像を作ったりしていた。


触ったあとは手がベトベトになるから洗うのに苦労する。


寅などカッコいい動物を真似るのに熱中していたが結局最後は怪獣に直して飾っておく。


【貯金箱】


授業で作る機会はなかったけど夏休みの自由研究といえば懐かしい。 


市販で売っている木製の組立式でロボット型のフォルムでした。


全体的に青色を塗って、細部のパーツも色彩を変えてメリハリを演出。


また、いつからあるのかは詳しく存じませんが種類がとにかく豊富。


シンプルに目標額が印刷されている缶タイプ、セキュリティ対策に優れた暗証番号機能付き金庫タイプ、貯金額が表示されるデジタルタイプなどどれも個性溢れる物ばかり。


お金を貯める継続力があれば経済面できっと活躍していたに違いない。





給食、昼休み。


ソフト麺のあの独特の香り、野菜と鶏肉の旨味が凝縮したカレーライス、生地がモチモチしたみかんクレープ全部大好き!


以上!!





5限目、理科。


【植物観察】


低学年で学習する授業の鉄板、現在も健在なのかはわかりません。


誰しもアサガオの種をポットに詰めて育てた事が1度はあるだろう。


発芽から開花に至るまで観察していると植物の生命力を強く実感出来る。


ちなみに当時、生活科目でも野菜を育てており家庭科の料理でおでんの具材としてお披露目していました。


最終学年の時に恐らく振る舞ったと思いますが鰹ダシの染み込んだ具材達は絶品ですね。


【てこの原理】


理科担当の教頭先生が口にしていて印象的だったのが「支点っ力点っさよーてーん♪」というてこの基礎3点をリズミカルに歌い上げていた時。


微力でも楽ちんに重量のある物体を持ち上げられるこの省エネな方法はあらゆる機械の基盤となっている。


例えば学生はもちろん、社会人もそれなりに使う自転車はその1つでクランクセット(ペダルの軸)を支点に車輪を駆動させている。


道中の起伏に応じ、ギアチェンジで効率の良く力点ペダルから作用点ギアチェーンにかけて力の伝達変換を行う。


車輪関連で車の話になるがタイヤ交換の時期にもてこはやって来る。


車体を軽く持ち上げてくれるジャッキ君、そんな小さな姿で支えきれるのかと理屈では理解しているものの毎年ハラハラは尽きない。


念の為に車体の下にタイヤを入れて置かなければ。



【地層】


「今日は地層を見に行きますっ!」


そんな気合い充分な掛け声を生徒一同は聞いて1人の人物に視線を集める。


今回は教頭先生ではなく校長直々に地層のある採石場へ連れて行ってくれる予定だ。


さっそくシルバーカラーのハイブ○ッド車へ乗り込み、エンジン起動。


目的地へ向かう道中、校長、生徒を合わせた4人が共存する車内は深く静まり返っていた。


そんな中静寂を破ったのはクラスのガキ大将の一言。


「ううぇーこの車内なんかくせーぞーっ!」


実はそれ乗った瞬間に自分も思った、だけどそんなの言えるわけもないし…


気遣いなどお構いなしにスピーディーに車窓の開閉スイッチを押す大将。


数秒遅れて他の生徒達もそれに便乗する。


レースカバーに染みついた汗の臭いと芳香剤の香りのダブルパンチにだいぶやられた。


運転席には思いもよらない奇襲を受けたような怪訝な横顔。


校長先生、俺が代弁して謝ります、ごめんなさい。


助手席から心の中で申し訳無く思いながらも前を向く。


そんな気まずい雰囲気ではあったがなんとか目的地へ辿り着いた。


眼前に広がる地層は圧巻で自然に形成されたとは思えない綺麗な赤、茶、灰色のボーダー模様になっている。





6限目、体育。


ほとんどは言い過ぎだけどかなりの割合を球技で過ごしてた思う。


中でも体育の退屈なメイン授業が終わると残り時間に生徒達の希望した球技で遊んでいた。


サッカー、ドッヂは特に人気で昼休みにも1つのボールを中心に皆が躍動する。


個人的にバドミントンにハマっていて、そのやりたさに空きネットを探しては差しで勝負を繰り広げたり。


ネットが無いときはその横の空いたスペースを使う。


サーブは未だに入れるのに苦労し、掬い上げて向こうへシャトルを飛ばす事に中々慣れない。


恥ずかしい事この上ない…


だがシャトルが軌道に乗り始めれば後はお手の物で手に汗握る高速ラリー合戦が展開される。


それが実現するのはネットを間に隔てない場合のみ、そのため障害物を気にせずライナー気味で返球可能。


遊びの範疇だからプレーの自由度は2度打ちも何でもアリ。


(シャトルが地面に落下してから僅かにバウンドした瞬間を狙ってショットするやり方)。


斬新な反則技はともかく話題を変えよう、同じくスポーツの枠内に限定するけど。


【WB○】


高学年頃に午前10時半から生放送されていたW○Cに教員はもちろん生徒達も目が釘付けだった。


見れるとしたら昼食時、気になりすぎて授業内容がまったく頭に入らなかったのは思い出すだけで感慨深い。


2009年開催の本大会は前回に続き見事2連覇を達成。


序盤から宿敵韓○と熱戦を繰り広げ決勝までを通して9試合中5回と因縁と言わんばかりの試合頻度。


試合スコアは10点差で快勝する時もあれば僅差で敗れる展開もあった。


プレイする選手達が違うからというのもあるけど日によって優勢と劣勢の立場が著しく変動するのも野球の醍醐味だ。


各国との激しいクロスゲームが続く中、誰もが最も熱狂したのは紛れもなく決勝戦だろう。


延長の10回表、3対3で迎えた6打席目、バッターは侍ジャパンの大黒柱イチロ○選手。


2死1、3塁と勝ち越しのチャンスで見事なセンター返しを放つ。


これにより塁上のランナーはホームへ帰還し5対3と試合を決定づけた。


そんな一流選手でも第2ラウンドの幕開けから2試合連続でノーヒットと不振に陥った。


あまりのコンディションに自分をスタメンから外して欲しいと監督へ申告する事も考えたのだとか。


だが1番としての責任感と仲間の支えが起爆剤となり、キューバ戦の後半から復調の兆しを見せ始める。


たまにYou ○ubeで振り返りたくなるのだかいつ見ても色褪せない名勝負だ。


ハイライトで流れるse○arate ○aysも相まって侍魂のカッコ良さに磨きがかかる。





〜終礼


机にランドセルを並べ着席する生徒達を前に板書をする先生。


教室内にコッコッコッとチョークが心地よく擦れる音が響く。


連絡帳に板書された内容を書き写し終わり、日直当番の号令と共に起立しお辞儀をする一同。


「明日はどんな出会いが待っているかな」


そんな未知の期待を胸に自宅への帰路に就いた。



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