(^ω^)「魔王と勇者と村上」のようです
【魔王城】
ピーン......ポーン......
ピーン......ポーン......
('A`)「はい。どちら様でしょうか」
( ^ω^)「勇者です」
( ・∀・)「勇者くんの友達の村上です」
('A`)「あら、なに?結構早かったじゃない?」
('A`)「四天王には強い魔人を用意していたはずだけど?」
( ^ω^)「あんな奴ら、俺達の前じゃ敵では無かったぜ」
( ・∀・)「そうか?お前、炎魔人にボコボコにされてたじゃん。素手で」
(^ω^ )「ちょ、お前言うなしwww」
( ・∀・)「いいじゃん別にwww」
('A`)「どうやって勝ったのよ」
( ^ω^)「企業秘密です」
('A`)「……」
('A`)「まぁ、良いわ。入りなさい……魔王と勇者、決着をつけようじゃない」
( ^ω^)「なっ!お前が魔王だったのか!?」
('A`)「ふふ……今度の勇者は手応えがありそうかしら?」
('A`)「あ、ちょっと待って。今スリッパ出すから」
( ^ω^)「あー……うん」
( ・∀・)「おじゃましまーす。あー、人ん家の匂い」
【魔王城──リビング】
('A`)「お茶かコーヒーあるけど」
( ^ω^)「お茶でいいよ」
( ・∀・)「あー、すっげーテレビでけーな」
( ^ω^)「え?魔王もテレビ見るの?」
('A`)「そりゃ見るけど……最近はリモート会議も多いし」
( ・∀・)「パソコンでやんないんスか?」
('A`)「部下も多いし……テレビの方がでかくて顔見やすいじゃない」
( ^ω^)「ふーん」
('A`)「勇者の動向も、それ使って把握してたのよ?」
(;^ω^)「は!?マジで!?」
( ・∀・)「ふつー水晶玉で見るもんじゃないんスか?」
('A`)「あれ使いづらいのよ。落としやすいし、割れやすいし、魚眼レンズだから映像も見にくいし……はい、お茶」
( ・∀・)「あざーす」
( ^ω^)「大丈夫これ?毒とか入ってない?」
('A`)「入ってないって。アナタ、いつも人を疑いすぎよ。直したほうがいいわ」
(;^ω^)「は?なにそれ、そんなことねーし!!いつ見たんだよ!」
('A`)「テレビで」
( ・∀・)「あー、でも、わかります。勇者ちょっと疑い深いスよね」
('A`)「ねー!そうよねー?」
(^ω^;)「ちょ、なにお前言ってんの!?」
( ・∀・)「だってお前、四天王の一人の幻影に引っかかった時、俺の言うこと信じなかったじゃん」
(^ω^;)「それはそういう状況だったからじゃん!既に幻覚見せられてたんだから、疑心暗鬼にもなるって!」
( ・∀・)「それでも俺の事は信じてほしかったわー」
('A`)「ホント。アンタ達、友達なんでしょ?」
(^ω^;)「ぐぬぬ……二対一とは卑怯な……こうなればもはやお茶を飲むしか……」ゴクリ
( ・∀・)「つーか、お前昔からそんなだった?勇者になる前はもっと純粋っつーかバカだったじゃん」
('A`)「あら、そうなの?いつからこんな心が荒んじゃったの?」
(^ω^ )「5千円と木刀を渡されて『魔王倒してこい。断ったら処刑』って自国の王様に命令されたら、もう誰も信じられなくない?」
( ・∀・)「命が軽いね」
('A`)「概ねモルモット以下よ」
('A`)「……ねぇ、村上くん。勇者とはいつから仲良くなったの?」
(;^ω^)「は?なに、いきなり。魔王には関係なくない?」
('A`)「今は村上くんに聞いてるの!」
( ・∀・)「えーいつからだっけ?」
( ・∀・)「小6?」
(^ω^ )「いや、学校同じだけど、小6は別クラスだったじゃん」
(^ω^ )「中学じゃない?ほら、テニス部の体験入部ん時」
( ・∀・)「……あぁーー!あん時かぁ!」
('A`)「結構昔からなんだ」
( ・∀・)「そっスね。高校まで一緒で。俺は卒業して遊び人になったんスけど、勇者は勇者になったんスよ」
( ^ω^)「内申だけは良かったから俺」
( ・∀・)「その結果が5千円と木刀って泣けるよな。修学旅行帰りの男子生徒と同程度の装備じゃん」
( ^ω^)「魔王を倒したら次はあの王の首を獲るんだ!」
('A`)「え?じゃあ私たち、戦う必要ある?」
( ^ω^)「え?」
( ・∀・)「え?」
('A`)「だって、結局貴方達も人間の王を殺すんでしょ?それなら、私とは目的が同じってことじゃない?ほら、敵の敵は味方っていうでしょ?」
( ^ω^)「そうかな……?そうかも?」
(・∀・ )「いや。それはそれ、これはこれでしょ。魔王なんて信じちゃダメだって」
( ^ω^)「うーん……でも、なんか一理ありそうな気がしなくも……」
('A`)「理しか無いわ。ついでに利もあるわ」
(・∀・;)「いやいや。こんなの『世界の半分を貴様にやろう』レベルの誘いだから」
( ^ω^)「俺バカだから難しいことよくわかんねぇんだけどよォ……」
('A`)「ならば私に従いなさい。そうすればきっとうまくいく」
( ^ω^)「わぁ、なんて抽象的で前向きな包容力のあるお言葉」
(^ω^ )「村上、俺ァ魔王にいついていくぜ!」
(;・∀・)「なんでだよ!!」
(;・∀・)「……!?この匂い!!魔王、お前まさか、お茶に薬を盛ったな!?」
('A`)「あら、よく分かったわね」
('A`)「しかし不思議ね。アナタにも勇者と同じ幻惑薬を使ったのに……なぜ正気を保っていられるの?」
( ・∀・)「遊び人だった時に色々と遊びましてね」
('A`)「なるほど。悪い友達ね」
( ・∀・)「いや、あいつとの友情は本物だぜ」
('A`)「でも、村上如きでは私には勝てないわ」
( ・∀・)「確かに……村上に魔王を倒す力は無い」
( ・∀・)「だけど!勇者ならお前を倒せる!」
('A`)「ふん!今の腑抜けた勇者ではどうにもならない!」
( ・∀・)「それはどうかな!?」
('A`)「なに!?」
(・∀・ )「勇者!!」
( ^ω^)「ん?どうした村上。さっきから何喋ってんの?」
(・∀・ )「俺の目をよく見ろ!」
( ^ω^)「目ヤニ付いてんぞ」
(・∀・ )「勇者、魔王はお前を騙してんだ!」
( ^ω^)「え、ウソ……そんなわけ……お茶もくれたし……」
(・∀・ )「魔王なんかより……俺を信じてくれよ!」壁ドォン!!
(*^ω^)「えっ?」トゥンク...
(・∀・ )「……お願いだ……」
('A`*)「あらやだ。臭いけどこういう雰囲気、嫌いじゃないわ……」
(*^ω^)「……」
(・∀・ )「……」
( ^ω^)「ちょ、顔近い、キモい」
(・∀・ )「友情パンチ!!」
【用語解説:友情パンチ】
肩パン。
(;^ω^)「い゛ッつ゛!!!」
(・∀・ )「目ぇ覚めたか?」
(;^ω^)「肩が痛ぇ」
( ・∀・)「魔王!勇者は完全に目が覚めたぞ!もうお前に勝ち目はない!」
('A`;)「たった今大ダメージを負ったみたいだけど?」
( ・∀・)「大丈夫だ!速攻性の薬をキメればすぐに良くなる!」
( ^ω^)「ズズ......あぁ~効くぜぇ、完全に目が覚めた!」
('A`;)「やっぱりアンタ悪い友達じゃない!!」
( ^ω^)「いくぜ村上!いつものあの技で決めるぜ!」
( ・∀・)「応ッ!」
( ^ω^)「勇者パワー解放!!」
【用語解説:勇者パワー解放】
勇者のパワーを解放する。
('A`;)「ぐっ!これが勇者の聖なる力……強い!」
「隙ありッ!」(・∀・ )
(;'A`)「なに!?そっち!?」
「村上インジェクション!!」(・∀・ )
【用語解説:村上インジェクション】
致死量の毒薬を血管に注入する
(;'A`)「ぐっ……!」
(;'∀`)「くく……馬鹿め。人間の毒薬が魔人に効くはずなかろう!!」
(・∀・ )「それはどうかな?」
('A`)「なにぃ?」
(・∀・ )「俺たちが四天王を全てこの技で倒したと言ったら?」
(;'A`)「……!!!!」
(・∀・ )「お前の部下達はいいモルモットだったぜ」
(;'A`)「ぐ……っ身体が……崩れていく……?」
(;'A`)「く……くそ……この……ド外道が……よくも部下を……」
( 'A`)「……ぁ、」
魔王の身体は完全なる砂となり、崩れ去った!!
勇者の勝ちである!!
( ・∀・)「ふぅ……流石は魔王、手強い相手だった」
( ^ω^)「どっちが正義か分かんねぇなコレ」
( ・∀・)「はは、戦いに正義も悪もねぇよ」ガサゴソ
( ^ω^)「なんだろう。毎度のことながら釈然としない」
( ・∀・)「そうさ、戦いの後には、虚しさしか残らないのさ」ガサゴソ
( ^ω^)「つーか、さっきから何してんの?」
( ・∀・)「魔王の身体のデータを取ってるんだよ。高く売れるんだ」
( ^ω^)「釈然としないなぁ」
(・∀・ )「なに、俺を信じろって。こうやって魔王だって倒せたじゃないか」
( ^ω^)「そうかな……そうだよな」
(・∀・ )「おう!今の俺たちなら、なんだって出来るぜ!」
( ^ω^)「そうだな!それじゃ今から一緒に人間の王を殴りに行こうぜ!」
(・∀・ )「よっしゃ、行くべ!!俺たち一緒なら世界だって獲れる!!」
( ^ω^)「友情の力は無限大だぜ!!」(・∀・ )