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朝の惨状

 ピピピピ、ピピピピ、ピピピ。

アラームの音で俺は起きる。

だが目覚ましではないのでボタンで直ぐに止められる訳ではない。

当たり前だがうるさい。

電源ボタンを押して画面を開き停止と表示されている方に手をスライドしてアラームを止める。

その後俺は欠伸をしながら身体を起こしてベッドから這い出る。

ドアを開けようとするとドン、ドンと何かを叩く音がしてくる。

ん?何の音だろ。

部屋を出て音をしっかりと聞く。

音の場所的には多分下からのようだ。

コン、コン 。

歩いて5歩程の妹の部屋をノックする。

「おーい、玲夏部屋開けていいか?。」

「いいよ兄貴。」

許可が出たので部屋のドアを開けて入る。

「あのさ下の音の原因知ってるか?」

「......私も知りたい。」

知らなかったようだ。

「てことは、さっき起きたばかりなのか。」

「そういう兄貴もでしょ?。」

「そうだな」

「まあ下に行ってみよ。」

「支度は大丈夫か?。」

「OKだよ下行こー。」

この間も下からの音はたまに途切れては聞こえてくる。

「良し、じゃあ行くか。」

階段を降りるのが少し怖いな。

一歩ずつ下に降りてるがやはり音は近くなってきている

「兄貴、何の音だろうね。」

「音楽ではないのは、確かだからな。」

「調理を......してる音かな。」

「さあ......な。」

リビングへ繋がるドアの前まで来たが開けるのを少し戸惑う。

戸惑っているとさっきまでしていた音がピタリと止んだ。

「音、止んだな。」

「止んだね。」

今度は躊躇せずにドアを開けた。

さてなんの音だったのだろうか。

まあ父さんか母さんが料理作ってたのだろうか

そうだと思う。

「母さん、何してたの?。」

「何だと......思う?。」

「嫌、怖んだけど。 」

「お母さん、怖いよー。」

「え、どういうこと貴方達?。」

「さっきのドン、ドンって音何?。」

「え、そんな音してたの?。」

(音を出してた本人だろ。)

「分からないのーお母さん。」

「さっきは、料理してたけどね~。」

(やっぱり~!!!安心したよ~。)

(そうで良かった安心した。)

ドアから三メートル程は離れた食卓の近くで俺と妹は音の正体を確認しようとしている。

「台パンでもしてたのかと思っててゴメン。」

(台パンの現場に遭遇しなくて良かったわしたこと有るのか分からんけども。)

「私は何処かにぶつかりまくってるのかと思ってたよ。」

(ケガしてなくて良かったよーお母さん!。)

「普通に料理作ってたから上に聞こえる程の大きい音出ないはずだから分からないわね~。」

(本当にさーマジ何を作ってたの母さん。)

(ダークマターとかじゃないよね~怖いよ~。)

ここから調理された食材の置かれてる場所は目視で確認することは出来ない。それも相まって恐怖を増幅させてくる。

早く本当のことを教えてくれないかな。

「ダークマターではないから安心していいわよ。」

(私の心が読まれたかなぁ?。)

(良かったわー。)

「久遠達よかったって顔に書いてあるよ。」

(ギクッ。)

(ヤバイーバレた許して~お母さん。)

「そんなもの、作る訳ないでしょ。」

「音の原因は結局分かったの?お母さん。」

「んー、何だと思う?。」

(いや分からないってこっちは音で起きたから。)

「知らないけど。」

「分かんないよー全然。」

「なんの音か教えてくれんの久遠?。」

「聞かれても分からんないって。」

(本当だろうか。)

「いやねー棒で思いっきりチョコ砕いてただけなんだけなのよねー。」

「それだって。」

「それだよ~。」

「お母さん全力でする事じゃないよ。」

(絶対床が散らばってる。)

「そうだよ母さん。」

「隠し味に入れてたんだけどねー。」

「欠片が散らばってないよねお母さん。」

そっとテーブルから台所を覗こうとしてみる。

「あ!ちょそこは・・・・・・見ちゃ。」

目に映ってきたのは槍の刃先の様に鋭利に尖った形をしているチョコの残骸。

数で言うなら見えるだけでも二十個は欠片が散らばっている。

(凄く痛そうなのだし確実に刺さるだろう。)

(えっとこれ・・・・・・。)

「お母さん痛そうだよこれ。」

「母さん何で砕いてたの?。」

「棒で思いっきりだけど?。 」

さも当然のように言われても困るんだが後ねー

、棒を持ったまま言わないでくれ

「手で砕こうよお母さん。」

冷夏も呆れ始めたようだ

「ストレスでも溜まったの母さん?。 」

「そんなこと無いわよ?。」

そう言いながら首を傾げる。

止めて信憑性消えるから。

「この惨状をどうするのお母さん。」

ガチャ。

ドアが開いた音がする。

父はカップを持ってコーヒーのスティックを持っている。

俺達がいるのをした確認はしただろうがそそくさと台所に向かって歩いて行く。

台所と言えばあの残骸が・・・・・・ある

だが父は床など気にしてないようでスタスタとあの残骸がある方へどんどんと歩いている。

「爽さんちょっと」

「どうしたの美也さん。」

「痛った。」

「あら。」

「あー。」

「あちゃー。」

困惑した顔で父は俺の方を見てくる。

嫌、俺の方を見られても困る。

「久遠これはどういうことなんだか教えてくれるか?」

「簡単に説明すると隠し味で入れようとしてたチョコを何故か母さんが思いっきり砕いてその破片が刺さったってこと。」

「すまないが一応聞いていいかい美也さん。」

「どうしたの爽さん。」

「なんで手で砕こうとはしなかったんだい。」

流石父さん聞きずらいことを聞いてくれた。

「何故か砕くといったら思いっきりって思って。」

「だからなのかい俺がこうなっているのは。」

「最終結果としていうならまあそうよ。」

「まあ僕もその考えが悪いとは言わないよ美也さんがぶっ飛んだ考えをするの良く知ってるからね。」

「えっとそれでどうしたの?。」

途中で母は言葉遮り不安そうに語る。

母の言葉に父は何も言わずに言葉を続ける。

「でもそれを直ぐ実行する悪い癖は直した方がいいと思ってるんだ。」

あれ、これからの惚気話が始まるのかはたまた説教が始まるのかどっちなのかなー。

「まあでも美也さんに怪我がなくて良かったよ。」

あれ、イチャイチャし始めそう?と頭をよぎった多分冷夏も同じだろう。

「爽さん///。」

あれ?始まりそう。

「あのさー始めないでもらっていい?」

「あのさお母さん達始めにないでよ!」

「あーすまない。」

すまないで済むかー。

すまないで済まさないでよ。

何故だろうか同じようなことを思った気がする。

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