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霧が晴れたら

作者: 鈴木明子

見ようとしても、見えない景色があります。

うまれてから、ずっと見ていたその山を

また見ただけで、うれしくなってしまった。

窓いっぱいに大きく見える、その山は、

どこにでもあるものでは、なかったんだ。

 

みんなと駆け回りながら、ずっと聞こえていた鳥の声を、また聞いただけで、うれしくなってしまった。

列をなして飛んでいく白い鳥の声は、どこでも聞こえるものではなかったんだ。


お金もなく、お腹がすくと手を伸ばして食べていた、その木の実を、また食べただけでうれしくなってしまった。いつでも食べられるものではなかったんだ。

 

大きくなっても、ずっと甘えていたあの人の、写真を見ただけで涙が溢れてくる。

いつまでも甘えていてはいけなかったんだ。

 

あなたが言っていた、言葉の真実を分からずにいて、ごめんなさい。

霧が晴れたら、景色がはっきりするように、あなたが伝えたかったことが何だったのか、少しずつでも分かるように生きていくから。

あなたが、愛したものたちを、わたしも大切にして生きていくから。

心が晴れると、見える景色があります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 優しく、けれど切ない雰囲気がいいですね。 過去の、その状況が当たり前でずっと続くと思っていた自分。 現在の、それは決してずっと続くわけではない、とても大切なものだったと気づく自分。 そ…
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