ハイスペック超人はボスと対峙するようです。
「んー、なかなか見つからねぇなぁ⋯⋯。」
ナビさんとも別れ、薬草を探し始めてからかなり奥のほうに進み辺り一面の草原になっていたが、どうしても最後の1個が見つからずにいた。
「恐るべし、物欲センサーめ⋯⋯。」
そう言いながら時折現れるスライムを地の手で光へと変えていく。
しばらく進んでいくと、何やら草の生えていない場所が見えてきた。
「ちょっとここらで一休みするか。⋯⋯ん?何だ、あの線。」
一面を囲むように線が引かれ、その中に今までのスライムたちとは明らかに違うスライムがいた。
「⋯⋯やけにでかいスライムだな。俺の胸くらいまである。いわゆるボスキャラか?」
ナビさんが言っていたのはきっとこのことだったのだろう。確かにこいつは強そうで、今までのように簡単には倒せないだろう。
「じゃあ逃げるかって言われたら答えはノーなんだけどな。」
臆することなく線の中に踏み込む。すると強制イベントに入ったのか、自動的に体がスライムの前まで歩いていく。こうして近くで見ると、なおさらでかく感じるな。
プルプルプルプルッッ!!
でかスライムは震えると、みよーんとでも聞こえそうなくらいに上に伸び、こちらに突進してきた。
「地の壁。」
ベチャッ!
すぐに壁を築くが、一撃で大きくヒビが入った。さすがはボス、火力が違う。
シュバッ!
でかスライムが体の一部を針のようにして飛ばしてきた。少し化するだけでHPの2割が持っていかれる。
「そういえば紙防御なうえに回復手段もそんなにないんだった。これはやべぇ⋯⋯。」
そう言いながらも次々と飛ばしてくるでかスライムの針をよけ続ける。とりあえず距離を取らないと話にならない。
「地の壁!」
自分の足元に高速で壁を築く。その反動で後ろへ飛び、距離を話す。
「からの、地の連撃ッ!」
宙を何度も殴る。すると俺を飛ばした壁から腕が何本も生え、一気にでかスライムに殴りかかっていく。
しかし、でかスライムのHPバーは2割も削れていない。思っていたよりもかなりタフである。
「これならどうだ、地の牢獄ッ!」
でかスライムの左右に壁ができ、そこから針が生える。おまけに前後にも壁を作り、逃げられないように囲い込む。
すると、じわじわとだがでかスライムのHPが減り始める。このペースならあと3分ほどで倒せるだろう。
だが、そう簡単にいかないのがボス戦なのである。
でかスライムが壁をぶち抜いたのだ。しかも戦い始めたころよりも明らかに大きくなっている。すでに俺の背より少し高いくらいになっている。よくよく見るとでかスライムの体内に何本か地の牢獄のとげが取り込まれている。
「まさかのボスは強キャラの方のスライムさんかよ⋯⋯。」