ハイスペック超人は仲間と試合をするようです。1
「キジン殿のことを一方的に知っていては平等では無いでござるから、拙者のことも話すでござる。」
そう言いながら、武蔵は背中に背負っていた大太刀に手を掛け、一気に引き抜く。
「拙者の獲物はこれでござる。基本的には居合術が基本でござる。それと、1つだけ拙者もとっておきを伝えておくでござる。」
「その名も我に斬れぬモノ無し。その効果は、防御無効の文字通りの必殺技でござる。これ以上の詳細は内緒でござる。」
「マジでするのか⋯⋯。いや、別にいいけど。ええっと⋯⋯試合ってどうすればいいんだ?」
そう言い終えないうちに視界にウィンドウが開く。どうやら武蔵から決闘申請が送られてきたようだ。
YESを押すと周囲に水色のドームが現れた。そのドームの中には俺と武蔵しかおらず、いつの間にかきららさんはドームの外に出ている。
「試合は直径50メートルの球場で道具使用不可、体力全損か降参した方が負けでござる。敗北によるペナルティは無し。試合後には消費した体力なども回復するため、遠慮せず戦えるでござる。」
「ああ、大体分かった。準備は出来てるから、いつでも初めて構わないぞ。」
「それでは始めるでござるよ。⋯⋯いざ、尋常に勝負。」
武蔵がそう言い終わると同時に、目の前に10秒のカウントダウンが浮かび上がる。カウントダウンは1つずつ減っていき0になった瞬間、俺と武蔵は動き出した。
「大地の海、大地の手!」
「天地夢走、円月斬。」
地面が波立ち、無数の手が武蔵を捉えんと襲い掛かる。しかし武蔵は何とも無いかの様に手の間を走り抜け、太刀の一薙ぎで全ての手を切り捨ててしまった。
「追刃。」
「くっ!大地の壁ッ!」
手を切り捨てた武蔵はそのまま俺にも斬りかかってくる。しゃがんで避けようとするが、避けられるのが分かっていたかのように太刀筋が変わり、俺の頬を浅く切りつけた。
慌てて大地の壁を出す反動で後ろに飛んで距離を取るが、武蔵はすでに次の行動に移っていた。
「風刃、雷刃。」
武蔵が大太刀を振った次の瞬間、俺の右腕に鋭い痛みが走る。見ると右腕には無数の切り傷があり、視界の端にはマヒの状態異常を示すアイコンが浮かんでいる。
もしかしなくても割とピンチじゃね?