ハイスペック超人は仲間と実力の確認をするようです。
「⋯⋯キジン殿、答えられる範囲でいいので答えて欲しいでござる。今のは一体何でござるか?」
初めに会った頃の様な、強者を見つけた戦闘狂のような鋭い視線が俺を射抜く。
「まあ⋯⋯簡単に言えばとっておきってやつだな。悪いけど言えるのはそれだけだ。」
一瞬思考してから、別に言ってもいいかと思いそれだけ伝える。別に他にもとっておきはあるし⋯⋯ゲフンゲフン。
そんな武蔵とは対照的に、きららさんは何だか⋯⋯周囲が混沌と化していた。
きららさん自体は何ともないがその、何というか⋯⋯きららさんの周囲には無数のアンデッド達が蠢いていた。
返り血を浴びたのかの様にどす黒く染まった空の鎧、リビングアーマーがタワーシールドを掲げてきららさんを庇うように立ち、その横には無理やりくっつけて歪な形となった4本腕の動く骸骨、計2体のスケルトンがそれぞれの腕にナイフを持っている。
頭上にはぼんやりと宙を漂う肉体の無い怨念の集合体であるゴーストが無数におり、何よりもきららさんの横にはさっきまで居なかった筈の1人の女性が立っていた。
「はぁ~、びっくりしました~。てっきりこっちまで余波が来るかと思いましたよぉ~。」
「ええっと、きららさん?そのアンデッドの群れは⋯⋯?」
敵対してこないことを疑問に思いつつ、襲い掛かって来た時のために大地装甲を発動しながらきららさんに尋ねる。
「あれ?言ってませんでしたっけ~?私の職業は死霊術師で、この子達は従者なんですよ~。博愛で回復もできるから、よく回復術師と間違えられるんですよ~。」
確かに、自己紹介の時に回復が出来る的なことは言っていたが、一言も回復術師とは言っていなかったな。
「それにしても、何もないならこの子達も不要ですね~。では従者さん、さようなら~。」
そう言ってきららさんが手を一振りすると、きららさんの周囲にいたアンデッド達は光の粒子となって消えていった。なんか成仏していったみたいに見えるな。
「さて、それではそろそろ始めるでござるか、キジン殿。」
「ん?何をだ?」
唐突な武蔵からの問いかけにこれまた問いかけで答える。質問を質問で返すなと前に言われたことがあるが、仕方ないだろう?等とどうでも良いことを考えていると、
「もちろん、死合でござるよ。キジン殿。」
俺にとってはふざけているとしか思えないような、しかし武蔵にとっては真面目な返答が帰ってきたのだった。