ハイスペック超人は新たな力を手に入れるようです。
地面に向かって手をかざし、魔力を流す。すると足元の土が盛り上がり、両手に絡みついて来る。
動きを阻害しないように柔らかく、それでいて攻撃を通さないように硬く、相反する2つの性質を無理やり1つにまとめ上げる。
硬さを求めすぎて脆くなってはいけないし、かと言って柔らかすぎては防御が出来ない。目指すのは⋯⋯そう、まるで片栗粉を溶かした水のような感じ。
普段は柔らかいが衝撃を受けると瞬時に硬くなり、再び柔らかくなる。
ええっと確か、ダイラタンシーだったか?不揃いな粒子の隙間に水が入り、衝撃を受けると水が奥に入り込んで表面の粒子が密集して硬くなる、とかだったはず。
「あ、ってことは、土魔法だけじゃなくて水魔法もいるのか⋯⋯。仕方ない、取るしかないか⋯⋯。」
魔法を解除しステータスからスキル欄に触れ、スキルポイントを消費して無事に水魔法を手に入れる。さて、それでは早速。
「『水よ、弾丸と成りて敵を穿て』、水の弾丸。」
詠唱を唱えると空気中の水分が集まって水の塊となり、弾丸並みの速度で案山子を撃ち抜く。うん、基本は地魔法と一緒だな。
「さて、ここからが問題だ。錬金術も使って⋯⋯、含ませる水分はこれくらいでいいか。『大地よ、鎧と成りて我が身を守れ』、大地装甲。」
詠唱を唱えると、地面から土が盛り上がって再度腕に纏わり付く。水分も含ませてある程度の柔らかさを持たせ、崩れないように魔力で支える。
まるで生きたの腕のように見えた。崩れ落ちないように土と水が常に動き脈動しているように見えなくも無い。試しにぐっと力を籠めるとたちまち表面が硬くなる。それでいて内部は流動性を持たせているので、衝撃が中まで伝わることは無い。
「うん、完璧だ。さて⋯⋯オラァッ!」
感触を確かめたのち、案山子に殴りかかる。触れた瞬間に硬さが増し、まるで自分の腕を振っているような感覚すら感じる。二回りデカいけど。
殴られた案山子は派手に吹き飛んだあと何度かバウンドしながら数メートルほど吹き飛んだ。防御だけでなく攻撃に関しても問題なしっと。
「これからは地魔法だけじゃなくて常に水魔法も使っていきますか。」
最後に、今まででたった一度きりしか使用しなかった魔法を試してみる。まずは足に土を纏わり付かせて固定、反動で吹き飛ばないようにする。
次に両手を合わせて指で筒を作り、土と水、そして魔力を流し込み圧縮させていく。スキルレベルも上がり筒の強度も増したので、前回よりも更に注ぎ込んでいく。
「さて、前回のリベンジだ。行くぞッ、大地の魔導砲ァァァァァ!」
ドバァァァンッッッ!!!
前回よりも更に激しい衝撃が辺りに響き、もはや災害ともいえるレベルで案山子を飲み込む。そして、
ズガガガァァァッッッ!!!
土と水が魔力暴走によって爆裂を引き起こし、進路上の全ての物を蹂躙していく。
「ふう、今回は無事に成功したな。それにしても⋯⋯。」
魔法を解除してゆっくりと後ろを振り返る。
案の定、武蔵ときららさんと目が合う。その表情から何を考えているかは一目瞭然だ。
なんて説明、しようかな⋯⋯。




