ハイスペック超人は鍛錬をするようです。
「ここが鍛錬場でござるよ。拙者は準備があるのですまぬがきらら殿、キジン殿を案内して欲しいでござる。」
「分かりましたぁ~。それじゃあキジンさん、逸れないように私について来てくださいね~?」
着いたのはギルドの奥の扉をくぐった先にある闘技場だった。闘技場と言っても、縦横其々100メートル、高さは大体10メートル⋯⋯っておい、ちょっと待て。
「え、うちのギルドってこんなに内部広かったか?少なくとも、外観を見た限りでは絶対こんなスペースはあり得ないんだが⋯⋯。」
「それはですね~、ここの空間には特殊な魔法が掛けられていて、内部の空間が拡張してるからなんですよぉ~。」
疑問に思った俺の問いかけに、きららさんが振り返りながら答える。
「その他にも、ここでは音や振動が外に漏れないようにされていたり~、訓練用のオブジェクトを自由に出すことが出来るんですよぉ~。しかも~、消耗した武器や防具、道具までもとにもどるんです~。」
「それはまさしく訓練場といった感じに相応しいな。ここでなら、何も気にせずに思う存分訓練が出来そうだ。」
「ふたりとも、待たせたでござるな。設定を終えてきたため、さっそく鍛錬と意気込もうではないか。拙者は少し自主練をするが、二人は何かしておきたいことは無いでござるか?」
俺ときららさんが訓練場について話し合っていると、訓練場の設定を済ませた武蔵が声をかけてくる。そうだなぁ、やりたい事⋯⋯。
「ちょっと魔法の練習をしたいから、的を用意してくれると助かるな。出来れば3,4個ぐらい。」
「私は、いつものでお願いしますぅ~。今日こそ、最高記録を超えて見せますよぉ~。」
「分かったでござる。ここを、こう⋯⋯。二人とも、こんな感じでいいでござるね。あとは好きなように弄って構わないでござる。」
武蔵が設定を操作すると、田んぼの真ん中にでも立っていそうな案山子が俺の前に等間隔で4体現れた。
俺から案山子までは一番近いもので5メートルほど離れており、案山子同士はそれぞれ2メートルほど離れて横一列に並んでいる。
きららさんの方には、周囲を囲むようにたくさんの案山子が立っており、しかもそれぞれが剣を構えて動いている。今にも斬りかかってきそうな勢いだ。
「隣を見ている場合じゃねぇな。さて、新しい戦法を考えないと⋯⋯。」