ハイスペック超人は隠しボスに挑むようです。2
連続投稿です、遅くなってしまいすみません。
「地の壁、地の手ッ!オラァッ!」
ウルフリーダーの視界を遮るように壁を築き、そこから無数の拳が迫り来る。しかしウルフリーダーは鋭く研ぎ澄まされた牙で容易く噛み砕く。
「くそっ、なんだ、あの出鱈目な威力は!?ならこれでも喰らいやがれ、地の拳ッ!」
右腕に土を纏い、顔面目掛けて全力で殴りつける。先程と同じように右腕を噛み砕かんと口を開く。
「ウグゥッ!?オオオォォォ!!」
右腕に走る激痛を耐えながら、纏った土にありったけの魔力を注ぎ込む。土は爆発四散し、ウルフリーダーの口の中を激しく傷つけると共に大きな怯みを引き起こした。
右腕を引き抜いた俺は再び両腕に土を纏い足元に地の壁を創り出し、反動で高く飛び上がる。自分の後方に向かって右腕をかざし魔力を込める。
右腕の爆発で推進力を得た俺は、未だに怯んでいるウルフリーダーの脳天めがけて全力で左腕を振り抜くッ!
見事ウルフリーダーの脳天をとらえた拳に魔力を流す。しかし今回はただ爆発させるだけじゃあないッ!
「地の針、からの、爆破ァ!」
拳の土は針となってウルフリーダーの脳天に突き刺さり、駄目押しとばかりに魔力を流して爆発の勢いで更に深く突き刺さる。そして最後に深く突き刺さった針が爆発するとともに、今まで少しずつしか削れていなかったウルフリーダーのHPが大きく削れ、半分を切った。
「やったか!?」
大きなダメージを与えて油断してしまったからだろうか。戦闘中において一番言ってはいけない言葉によって見事フラグを立ててしまった俺がその言葉に後悔したのと、ウルフリーダーが遠吠えしたのは同時だった。
グオオオォォォーーー!!!
考えてみればすぐに気付く事が出来た筈だった。ウルフリーダーと戦う前に幾度も戦ったし、こいつは名の通りウルフたちのリーダーなのだ。ならば、
手下のウルフがいてもおかしくは無い筈だった。
遠吠えでウルフリーダーを中心に突風が吹き荒れる。土埃が視界を塞ぎ、一瞬だが完全に周囲が見えなくなる。目を覆いながら不意打ちを受けないように警戒していると次第に土埃が収まっていき、少しずつだが視界が晴れていく。
視界が晴れるとそこには20を軽く超えるウルフの群れが俺を取り囲んでいた。