ハイスペック超人はギルドに入るようです。
「自己紹介も一通り終わりましたようなので、本題に入りましょうか。」
水月さんの問いかけで、俺はここに来た最初の目的を思い出していた。俺がこのギルドに入り、ギルドマスターになるということだ。
まあ、このギルドに入るのはいい。もともとソロプレイをする上では限界もあるし、どこかのギルドには入ろうかと考えていた。今まではやることがあり過ぎてどこに入るかまでは決めていなかっただけの話。
「確か、俺がこのギルドに入り、ギルドマスターになるっていう話だったな。」
「はい、その通りでございます。どうか、私たちのギルドマスターになって戴けないでしょうか。」
水月さんのお願いに対し、俺は黙り込む。紅茶を飲み、周囲のメンバーを見渡してある問いかけをする。
「ギルドに入るのはいいけど、そもそもなんで俺がギルドマスターにならなきゃいけないんだ?このギルドが出来ているという時点で、既にギルドマスターがいるんだろう?」
「勿論。吾輩が現時点のギルドマスターである。」
俺の問いかけに答えたのは水月さんではなく、教授だった。
「最初は吾輩がギルドマスターを受け持っていたのであるが、吾輩は本来情報収集がメイン、言わば参謀という立場なのであり人をまとめるのは苦手なのだ。」
「じゃあ他のメンバーはどうなんだ?別に俺にこだわる必要はないだろう?」
「勿論吾輩も最初は他のメンバーに頼もうと思った。だがしかし、水月殿は忠義の美徳であり誰かに努めることが本望、現にこのギルドのサブギルドマスターをしてもらっているのである。」
「私は正直言ってまだ人付き合いが苦手ですし、ユイさんもきららさんも同じ理由で無理だと思います。」
「拙者は強き者と戦えればいいだけでござる。」
「と、いう訳で御座います。キジンさん、貴方がアカネさんを救ったというお話をお聞き致しました。なので優しいキジンさんならギルドマスターになって戴けるかと。」
順に教授、アカネさん、武蔵、水月さんである。それだけでなく此処にいる全員が俺に視線を向けている。この雰囲気の中、流石に断ることは出来そうに無い。
「はあ⋯⋯、分かったよ。ギルドにも入るし、ギルドマスターもやるよ。その代わりだけど、あまり期待し過ぎないでくれよ?」
「では早速、ギルドマスターの権限をキジン殿に移そう。」
ギルド勧誘の知らせを受け了承すると、すぐさまギルドマスターの権限が俺に移される。かくして俺は、『救済者達』のギルドマスターになるのだった。