ハイスペック超人は忍耐のオーガと遭遇したようです。
木の陰から出てきたのは、俺と同じくらいの背丈のオーガだった。
(まさかのこのタイミングで遭遇かよ!?確かに俺と同じ初心者装備だな⋯⋯。一応、鑑定してみるか⋯⋯。『鑑定』。)
アカネ
オーガ
剣士
Lv4
HP480
MP600
体力16+8
筋力11+8
敏捷6
器用6
魔力22+8
ステータスポイント残り0
スキル
剣術Lv3 剣術に補正。
火魔法Lv1 火魔法が扱えるようになる。
防御Lv8 防御行動に補正。
鑑定Lv2 鑑定が扱えるようになる。
HP自動回復Lv6 毎秒HPを6回復する。
闘気法Lv1 HPを消費して、自身の筋力を上昇させる。
体力上昇Lv4 体力+8
筋力上昇Lv4 筋力+8
魔力上昇Lv4 魔力+8
忍耐Lv2 自身のMPを消費し、ありとあらゆる攻撃に耐える。七つの美徳スキル。
称号
魔境の戦士 任意の量の経験を消費し、進化出来る。その可能性は無限大。
忍耐の美徳 美徳は互いに惹かれ合う。
「もしかしてだけど、プレイヤー?」
「⋯⋯っ!⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯は、はぃ。」
確かに改めてみれば顔つきは人間とほぼ変わらない。きっとこのプレイヤーも種族をランダムにしたのだろう。それにしてもプレイヤー名を見たのと今声を聞いて分かったけど⋯⋯
「まさか女性プレイヤーだったとは⋯⋯。オーガっていうからてっきり男かと思ってた、ごめん。」
「いえいえ、別に大したことないです⋯⋯。」
オーガ改め、アカネさんは苦笑いしながら答えた。そういえば相手のことばかり聞いて、こっちのことはまだ何も話していないな。
「そういえばまだ俺のことを何も話してなかったな。俺はキジンっていう。まぁ⋯⋯俺も似たようなもんでホムンクルスだ。後、節制の美徳持ちだ。何なら鑑定してくれても構わない。」
隠蔽のスキルを切りながら言うとアカネさんもどうやら鑑定したらしく、少し驚いたような顔をしている。
「まあ、これで少しは信頼して貰えたって⋯⋯どうした、急に!?」
「うぅっ⋯⋯よかったぁ⋯⋯よがっだぁ⋯⋯⋯⋯。」
急に泣き出してしまったアカネさんに、俺はただあたふたするしかなかった⋯⋯。
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「なるほど、モンスターに間違えられて何度も襲われたのか⋯⋯。それは大変だったな。」
「ありがとうございます、こんな愚痴に付き合っっていただいて⋯⋯。」
数分後、アカネさんは落ち着きを取り戻していた。これまでのアカネさんの事情を聴いていたが、確かにそんなことがあったら、俺には耐えられそうにない。実際に既に現実で味わったし。
「いや、俺も人づきあいが苦手だからその気持ちはよく分かるよ。」
現実を思い出し、少し憂鬱な気持ちになりかけるが表情に出さないようにぐっとこらえる。
「え、そうなんですか?てっきりキジンさんは人づきあいがうまいのかと⋯⋯。」
「そんなことない。正直このゲーム始めたきっかけも、現実から逃げたかったっていうのがあるし。」
「私も似たような理由です!ここでなら、変わることが出来るかなって思って。結局こんな有様ですけどね⋯⋯。」
そう言うとアカネさんの表情がまた暗くなってしまった。
「諦めちゃ駄目だ。まだアカネさんには変わる方法が残っているじゃないか。」
「変わる方法?そんなもの特に覚えがないのですが⋯⋯。」
「『魔境の戦士』の称号を使えば、恐らくだけど可能性はある。」
そう言うと俺は、今一番頼りになるであろう人物にコールをかけた。