ハイスペック超人は気になるクエストを受けたようです。
「それにしても、そんなに実力があるならほかのクエストも受けたらどうですか?」
「そうだなー、じゃあ、何かおすすめのクエストってありませんか?」
尋ねると受付嬢は分かりました、と席を立ち、奥の棚から一枚の紙を持ってきた。
「このクエストはどうですか?本来ならもう少し実力がいるのですが、でかスライムを倒したのならこのクエストはこなせると思います。後、でかスライムを倒されたので一緒にギルドランクも2に上げておきますね。」
何故ギルドランクを上げるのか聞くと、本来はギルドランクが上がってからでかスライムのことを伝え、討伐してもらうらしい。
ちなみにギルドランクについては、ランク1、ランク2、ランク3⋯⋯と、徐々に数字が増えていく仕組みで、貢献度や実力に合わせて上限するため、上限などはない。上はおろか、下にも。
クエストに失敗し続けたり、迷惑行動などを行うとランクが下がり、マイナスに入る。マイナスに入ってしまうと一部の建物の出禁、クエストの報酬の減少などがあり、元に戻すためには奉仕活動をするしかないらしい。
「で、クエストの話に戻るけどどんなクエストなんだ?」
「えーっと、こちらになりますね。」
『特異個体 不滅のオーガ の調査』
オーガか⋯⋯。筋骨隆々の体に角を持つ、まさしく鬼のような姿でゲームとしてはまた定番のモンスターだが、この不滅、というのがかなり気になる。
「この不滅っていうのはどういう意味で?」
「実はこのオーガ、何度倒しても起き上がってくるんです。首を刈り取っても、心臓を一刺ししてもまるで痛くも痒くもないかのように。しかし、今のところ街や人を襲ったということがないため、何が目的なのか調べて来て欲しいんです。」
「倒したりはしなくていいのか?」
「今のところは調査だけですから、倒さなくても構いません。しかし、何か怪しい動きがあれば、出来るだけ阻止していただければ。」
まあ、確かにクエスト名が調査であって、討伐ではないからな。
「分かった、それじゃあこのクエスト受けるよ。ちなみに、そのオーガの特徴というのは?」
「ありがとうございます!それがですね、なぜか冒険者の服装を身に着けているようなんです。あと、こちらが攻撃してもほとんど反撃をせずに逃げ去っていくんです。」
「それはまた妙だな⋯⋯。一応気を付けておくよ。」
「はい!よろしくお願いしますね。」
そうして受付嬢と別れた俺は、ギルドを後にするのだった。
「とりあえず、もう一度街を回って必要な物を探すか⋯⋯。」