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「吉崎?!どうした!!」
部屋のドアを叩きながら、西本は叫んだ。時折ドアノブに手をかけるがガチャガチャと音を立てるだけで、ドアが開く気配は全くない。
「くそっ。…ドアがダメなら。」
西本は慣れた手つきで松葉杖を扱い、建物の裏へと駆け足で行ってしまった。
「ど、どこに行くんだよ!」
「…窓から中に入るつもりなんだろう。」
柳田教授は気がついたら部屋のドアの前に立っていた。コンコンとドアの叩き、ふむふむと頷いている。
「そっか、窓なら最悪壊して入れる!教授、僕たちもすぐに行きま」
「せぇーのっと」
バゴーンッバタンッ
教授の右足により強制的にドアが開けられた。
鍵は壊され、留め具も外れてしまっている。…鉄の扉ってこんな簡単に壊れるだろうか。いや、ないない。
「中に入らないのか?」
「い、行きますよ!」