エピローグ
翌日、なんでも相談室へ行ってみると、いつもの席に座り、パソコンと向き合う柳田教授がいた。ただ、僕が部屋に入った時は電話中だった。
「いやぁ、まさか粉々に壊れてもお面の効力が消えないなんて!……。いえいえ、お孫さんが無事で良かったです。……。約束は約束ですよ。では。」
電話の相手は、西本のおじいさんだろうか。約束がどうとか言っていたけれど、教授に聞いても答えてはくれないだろう。
「西本は、大丈夫なんですか?」
電話が終わったので、教授に念のため尋ねてみた。教授はあいかわらず僕の問いかけを無視して、パソコンをカタカタ打ち続ける…かと思ったけれど、僕の方を振り向きにっこり笑いかけてきた。…よほど機嫌が良いのだろうけれど、見慣れなさすぎて気持ち悪い。
「西本なら無事だよ。ほら、これがその証拠さ。」
教授の机の上に、例の白いお面が置かれていた。といっても、桐の箱に入れられて十字に紐で縛られているため、簡単には取り出せないようになっていた。
「美しいだろう?実は西本のおじいさんとは前からの知り合いでね、何度か寺にも訪ねたことがあるんだよ。そこでこのお面に出会って、すごく気に入ってさ、譲ってくれないか何度もお願いしてたんだけど、頑なに拒否されていたんだ。そんな時に今回の事件が起きて、やっと手に入れることができたよ。いやぁ、西本には感謝しきれないよ。」
「感謝って…そういうことだったんですか。」
理由はどうあれ、西本は助かったみたいでほっとした。いくら嫌なやつでも、死んだら歯切れが悪い。
「でも、教授、何で西本にも仮面のかけらが付いてるって分かったんですか?」
「西本にも、というか、元々あのお面は西本に取り憑いていたんだよ。」
「えっ?」
「彼の吉崎に対する恨みつらみは君も聞いただろ?取り憑かれるには十分だ。おそらく彼が持っているときはお面はまだ封印がされていていた、今のこのお面のように。交通事故でお面が粉々に壊れた時に封印が解け、お面は西本の顔に貼り付こうとした。が、西本が意識を失ってしまい、居場所がわからなくなって、右目しか貼り付けなかったと思われる。残りのお面のかけらは、西本に取り憑くために、近くにある負のエネルギーを依代に一つにまとまろうとして、その依代が吉崎だったって感じかな。吉崎に始めから取り憑いていたのなら、事故があったあの日に彼の顔を全て覆っていただろうから。」
「うーん、なんか納得できるようなできないような。あ、そういえば、どうやって西本からお面を剥がしたんですか?詳しく聞きた…」
僕は教授に問いかけようと思ったけれど、やめた。箱に入ったお面を見て目を輝かせている教授に何を聞いても無駄な気がした。
ここまで読んでくださった方、お付き合いいただきありがとうございました。
書き始めた当初と比べてだいぶ話が長くなってしまいましたが、なんとか書き終えることができました。
柳田教授をもっと奇人にしたかったのと、吉崎&西本ペアが思ったより嫌な奴になってしまったのが少し心残りです。
初めてなので、誤字脱字、回収しきれなかった内容など至らない点ばかりなので、修正も加えていきたいなと思ってます。
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