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「西本に話って…」

「このお面、君の寺のものだよね?」


教授は手に持ったお面を見せながら西本に問いかけた。包帯が巻かれていない左目でチラッとお面を見たかと思うと、西本はニカッと両方の口元を上げながら教授の方へ向き直した。


「俺の寺にあったお面で間違いないですよ。俺のというか、祖父のものですけどね。」

「…こういうものに素人は関わらない方が良いよ。」

「…今回限りですので、大目にみてください。」


西本は間違いなく知っていたんだ。お面がどんな恐ろしいものかを。知っていた上で、事故の日にお面を吉崎に見せようとした。お面を吉崎に着けさせようとしたんだ。


「なんで…友達なんでしょう?」


大学で吉崎について話を聞きまわっていた時、他の理学部仲間からは、吉崎と西本は良く一緒にいて仲がいいという話を聞いていた。なんで西本は吉崎にお面を着けさせようとしたのか、全然分からない。


「なんで?…あいつ、高校からの付き合いなんですけど、頭も運動も俺より上で、みんなに目をかけられて。…ムカつくんですよ。そのお面のことは祖父から聞いていたので、あいつが俺を憎むように仕組んで、試しに使ってみたまでです。あいつの苦しむ姿が見たくて。まさか、俺を殺したいほどあいつが憎んでいたとは想定外でしたが。」


空いている手を軽く挙げながら、やれやれといった感じでゆっくり首を振った。顔は相変わらず不気味な笑顔のままだった。


「お面も事故の際、壊れてどこかにいってしまったと思ってたんですけど、あいつが最近大学休んでいると聞いて、もしやと思ってきてみたんです。窓の隙間からあいつにお面が張り付いているのが見えて…笑いを堪えるのに必死で疲れちゃいました。」


吉崎が悲鳴をあげた時、助けようと窓側へ走っていったと思っていたのに、彼の苦しむ姿を見るためだったなんて。狂っているとしか思えない。


「思い出しただけで笑えますよね。ははっ、ざまぁみろ。」


笑い続ける彼に、もはや嫌悪感しか抱かない。そう思っていると、教授は西本の方へ歩いていった。ドシドシと地面を踏みつけるように歩く姿は、後ろ姿だけでも機嫌が悪いことが分かる。


「もう話を聞くのはたくさんだ。…さっさと持っているかけらを渡せ」





カタカタっ


気のせいだろうか。教授の持っているお面がわずかに動いたような気がした。


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