幕間2
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「吉崎、今度の学会また連れてってもらえるらしいじゃん。いいなぁ。」
「ただの手伝いだよ。」
10月も半ばに入り、上着がないと肌寒い季節になってきた。隣の西本はオシャレなのか寒がりなのか、ニットの帽子を被っていた。
「でも、2年から学会の手伝いなんて普通ありえないでしょ。やっぱ首席殿は違いますねぇ。」
「ただ男手がほしいだけだって。」
「じゃあそういうことにしておこう。そうだ、今度のハロウィンの仮装、何にするか決めた?」
「…俺は行かない。」
西本は大げさに驚いてみせた。俺がハロウィンみたいな場所が嫌いなことを知ってるくせに。それに、今回は特に行きたくない理由があるのも知ってるくせに…
「俺らのサークルの恒例行事なんだから行こうよ!それとも何か?まだ沙織ちゃんのことで恨んでんのかよ。」
「…別にそんなんじゃ。元々ああいう賑やかな場所嫌いだし。」
「まぁ吉崎の気持ちも知らないで、沙織ちゃんに告白したのは俺が悪かったと思う。同じサークルだし気まずいのも分かる。」
西本は俺と違って社交的で明るい。いつも西本の周りには友達がいて、誰からも好かれているように見えた。だから俺の片想いの相手と恋人になったと聞いて、コイツには勝てないなって諦めた。
そんな俺の気持ちなんか知らず、気にさわるようなことズバズバ言いやがって。西本の悪いくせだ。高校からの付き合いで慣れたとはいえ本当に直した方がいい。
「でもそれとこれとは話は別でしょ。オカルトサークルとしてハロウィンは楽しまないと!」
「…分かった。行くよ。」
西本は満面の笑みで俺の方を見た。この顔を見るとつい断りきれなくなる。
「そうこなくっちゃ!実は吉崎にやってほしい仮装があってさ。どうせ決めてないだろうと思って。」
そういうと西本はいつも何を入れているのか分からない大きなリュックを背中からお腹の方へ背負い直し、ごそごそ中身を探り始めた。
「俺の家が寺なのは知ってるだろ?そこに飾られてたやつなんだけど、なかなか迫力あってさ。」
「歩きながら探さなくても。あとでサークル棟で見せてくれればいいから。」
「他のやつに見られたら本番がつまらなくなるだろ。」
「だったらせめて止まって探せば。」
「大丈夫、大丈夫!」
住宅地で道も細いためそんな飛ばす車はいないが、朝の急いでいる時間だと、地元の人が抜け道でよく車が入ってくる。そうこう言っている間に、後ろから1台そこそこ速度のある車がやってきた。西本は気づいていないみたいだ。
「ほら、後ろから車が来てるぞ、もっと右に寄らないと。」
「心配すんなって、右に寄ればいいんだろ。あった、これがその」
ドカーンッ!キキキキキキィ!!
西本が宙を舞った。
冗談のつもりだったのに。地に落ちた西本から大量の血が流れていた。
俺は…悪くない。
ざまぁみろ
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