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部屋の中は昼間にもかかわらず薄暗かった。南側の窓のカーテンがほとんど閉まっているからだろう。1Rだったため、すぐに中全体を見ることができ、部屋の隅にうずくまっている吉崎をすぐに見つけることができた。


「吉崎…くんだよね?」


僕が問いかけても返事がない。布団を頭から被りかすかにひっくひっくと泣く声が聞こえるだけだった。


「仁瀬です。突然お邪魔してすみません。その…大丈夫ですか?」


「顔を見せてくれないかい?状態が見たい。」


柳田教授は土足のまま部屋に上がり、布団にくるまった吉崎の近くでしゃがんでいた。


「…その、声は、柳田、先生!」


被っていた布団を脱ぎ、現れた彼は一目で吉崎と判別できなくなっていた。

相談に来た時は額と左目だけだった例の白い物体は、顔のほとんどを覆ってしまっていた。右目と口が半分ほど見えるだけで、あとは白い仮面を被っているようだ。顔の凹凸に合わせて仮面に凹凸があるだけではなく、額の左側から角のようなものが生えていた。


「先生、助けて、くれ!顔に、ひっついて、取れ、ないんだ!!」


しゃべりにくそうな口で必死に懇願する吉崎。そんなことは関係なく、柳田教授は吉崎の顔に張り付いたものをコンコンと叩いたり、触ったりしている。


「おおかた揃ったといったところかな。」


手に持っている白いかけらと吉崎の顔を見比べている。白いかけらはちょうど覆われていない口の部分とほぼ同じ大きさのように見えた。


「これはまだ早いな。」


そういうと、肩掛けのカバンにかけらを入れて再び彼の顔を触り始める。緊急事態にも関わらず、口元が上がり、喜んでいるようにみえる。明らかに今の彼の現象を楽しんでいる。


「教授、早く彼を助けてください!」


口が開いているとはいえ、呼吸はしにくいはず。また、とれない仮面がいつ顔全体を覆ってしまうか分からない恐怖も合わさり、吉崎の呼吸はさらに呼吸が荒くなっていた。助けられるなら早いに越したことはない。


「そんなに急かさなくても。」


僕の方を煩わしいとでもいうような目で一瞥した。その後、吉崎の方を振り返る。






「西本の交通事故の原因は、君だね。」

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