呪われし者
(…もう…限界…)
男はどこかのアパートの一室で壁に寄りかかりながら右手に持っていた銃を頭に押し付けた。
(…なぜこんな所にきてしまったのだろうか…)
まるで走馬灯のように頭に流れてくる。
(これで…終われたらいいんだが…)
そう思うと男は目を閉じ引き金をひいた。
…また夢の中か…
男は目が覚めるようにゆっくりと目を開けた。
すると、さっきまでいた部屋ではなく、いつも通っていたコンビニの前に立っていた。
(またいつもの場所…体も…やっぱり動かないか…声も出ない…ダメか…)
男は、毎日見ている現実のような夢の中で、動けず声も出せず、誰も男に気づかないかのようにさっさと歩いて行ってしまう。
(どうすれば終われるんだ・・・自殺してもまたこの夢・・・もうあの世界に戻りたくない・・・)
なにをどうすればこの呪いのような場所から逃げ出せるのか、考えもつかないまま諦めかけていたら、
ふと前の方から視線を感じた気がした。
よく見ると、高校生くらいだろうか友達らしき人と3人で歩いている真ん中にいた男と目があった気がした。
男は必死になりながら
(頼む!俺に気づいてくれ!そして助けてくれ!)
そう言葉にできないが、気持ちだけでも届くよう必死にその学生に願った。
するとどうだろう、学生が男を顔が青ざめながら指をさし怯えて尻餅をついていた。
(気づいてくれた!?なんで怯えてるのかわからんが頼む!助けてくれ!)
しかしだんだん目の前が暗くなっていき そして 意識は闇に消えた・・・