過去の記憶
俺は思い出してしまった、幼い頃の記憶を。
決して行方不明などではなかった。
俺の家族は...
殺されたんだ。
遡ること9年前。
「お母さんの料理はいつもおいしいね!」
「うんっママのお料理大好き!」
「ありがとうねっ空、海澪」
「「うんっ」」
俺はごく普通の仲のいい家族だった。
なのにそれは崩れ去ってしまう。
ガタガタガタガタ...
唐突に家の家具やお皿などが揺れ始める。
「何、地震かしら。」
「ママ怖いよ」
「大丈夫だぞ海澪、俺がついてるから」
「あら、頼もしいわねっ」
次の瞬間、揺れは収まり激しい光とともに見知らぬ男が姿を現した。
「よいしょっと、確かここから強い魔力を感じたんだけど」
急に光の中から現れた男は訳のわからないことを言い出した。
「あなたは誰なの!」
「僕のことかい?」
「貴方以外いないでしょっ!」
「そういえばそうだね、僕は科学者のマルフィスさ、君たちとは違う世界からやってきたんだ」
「そんなこと信じれる訳ないでしょっ」
「うるさいな、しょうがない、転移するのに少し魔力を使いすぎたけどその証拠を見せてあげるよ」
そう言うと、マルフィスと名乗る男の何もない右手から、黒いどんよりとした大きい手のような形ができてお母さんの体をつかむ。
「放して!放しなさい!」
「もう、そんなに騒ぐんなら消すよ?」
「空っ海澪っ、逃げなさい!」
「ママを放せ!」
俺の妹海澪は、幼い体で男に飛びかかるが、敵うはずもなく片方の手で払い倒され、海澪は壁にぶつかり気絶する。
「海澪!...空、海澪を連れて逃げて、早く!」
「お母さんを置いてなんていけないよ!」
「いいから!」
「面倒くさいや、消えて」
「空っ海澪っ逃げ...」
男がそう言い放つと、次の瞬間お母さんは一瞬で跡形もなく消え去った。
「ふぅ、これで静かになったね」
「お母さん?」
「ごめんね、うるさいから君らのお母さん殺しちゃった。」
「お母さん...お母さんを返せ!」
「だから殺したの、もう無理だよ」
「そんな...」
「まあいいや、強い魔力の根源は君たち二人のようだね、君たちは僕の研究の実験体になってもらうよ、そろそろ元の世界に戻らないといけないし」
絶望に陥っている俺にそう言うと、マルフィスは呪文のようなものを口にした。
「闇眠」(ダークスリープ)
俺の意識は闇の中へと引きずり込まれた。
そして幼い頃の俺は暗闇の中で声が聞こえたんだ。
「悔しくはないのか」
誰かが言っている。
「敵を討ちたくはないのか」
俺は目を開けて声の聞こえるほうを向いた、するとそこにはテレビの洋画などで見たことのある、いやそれ以上に大きくて真っ赤な色をした龍がいた。
「龍?」
「そうだ、我の名は破天龍シグニルだ、そしてお前は我の生まれ変わりだ、強い魔力を当てられたことによって目覚めたのだ」
「力を貸してくれるの?」
「あぁ、お前は俺の生まれ変わりだからな、しかしまだお前には我の力に耐えられる程の器ではない、だから耐えられる器になるまでお前に起きた出来事の記憶を封印させてもらう」
「わかった、絶対に力を貸してね、あの男を倒す力を」
「よかろう、たやすいことだ」
で、現在に至る。
「全て思い出した、シグニル、俺はお前の力に耐えれる器になったってことなんだな」
「そうだ、お前は覚醒したんだ、これから困難に見舞われる事もあるだろう、その時、我の力が役に立つだろう」
「なあ、どうやって力を使うんだ?」
「いずれわかる、もう時間だ、我はもう消える、お前に全ての力を継がせた、あとはお前次第だ」
「ありがとうな」
「礼は無用だ、お前は我の生まれ変わりなのだから」
そう言い残すとシグニルは消え去った。
あまり内容の進展が無いとは思いますが、次回から進みますのでよろしくお願いします。




