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仲間

「アリスお帰りー!」

「今度の新人はどうだ!?強いか?」

みんなアリスに声をかける。

「えぇ。なかなかよ。」

ここの空間で怪我をしても元に戻るようで、傷はきれいさっぱりなくなっていた。

そんなことより僕たちは、姉ちゃんと呼べるくらいしか年の差がないアリスに負けて、とても悔しく、自分の非力さに対する思いやら、恥ずかしい思いやらでうつむいていた。

「それで何分くらい持ったんだ?」

何分くらいって…どういうことだよ。攻撃くらわせるまでじゃなかったのか?

「えーっと…大体24、5分ってところね。1人は純正の雷で、もう1人は無の属性よ。無の子のほうはホントに珍しい異の術を使うわ。」

「何!?そんなに!?しかも雷と無って…」

どっとロビーが騒がしくなった。

いろんなところからすごいわねとかホントに新人か?などと言った声が聞こえてくる。

クランやヘレン、知らない色んな人たちまでもが顔を見合わせている。

「アリス…どういうことですか?攻撃を当てるまでって言ってませんでしたか?」

僕はやっとの思いで顔を上げ、アリスに聞いた。

「がははは。何言ってんだ!長のアリスに攻撃があたるわけないじゃねぇか!ましてや力の使い方も知らない新人がよぉ!」

後ろから前ブランと呼ばれていた男が現れた。

祐樹が顔を上げた。

「どういうことなんですか!?」

「私はあなたたちに力の使い方を体で教えるために戦いをしたわ。それと同時に、あなたたちがどれだけ術を使うことができるのか、あなたたちはホントにタッグとしてやっていけるのか、あなたたちに適切なクエストのランクは何か、などを見極めるテストでもあったのよ。大体、ギルドの長と戦って勝てるとでも思った?」

うふふ…と笑った綺麗なアリスが悪魔に見えた。

「え〜…」

僕と祐樹は恥ずかしい思いがより大きくなった。

「まぁ今までアリスに攻撃を与えることができたのはエノとノワールだけだからな。」

そうだったのか…馬鹿みたいだ僕たち。

「ブランは何分くらい耐えたんですか?」

「オレか?オレなんか2分くらいでアウトだったぜ。」

ぇ…いかにも強そうなこの人が2分?

「僕たちってもしかしてよくやったほうだったりする!?」

祐樹が元気を取り戻したようだ。

「そうだな。2分で負けたオレでも3年でBランクの任務こなせるようになったからな。お前らはもっとすごいんじゃないか?」

僕たちは少しずつ嬉しくなってきた。

「でも負けたことにはかわりないだろう。」

遠くのほうで窓にもたれかかっている少年がこっちを見ながら言った。

「エノ!なんてこと言うのよ!あの子達は新人よ!20分以上攻撃を避け続けただけでもすごいのよ!?」

クランがエノという子に向かって怒鳴る。まるで姉と弟みたいだ。

「僕は3分で勝った。」

さらっと言い返し、どこかへ行こうとするエノの前に男の人が立ちはだかる。

「俺は1分で勝ったぜ?エノちゃん。あんまり新人の子達にひどいこと言っちゃだめだよ。」

エノの頭をクシュクシュとなでる。

多分勝ったといっているからにはノワールって人だろう。

エノはノワールを避けてロビーから出て行った。

「ノワールじゃない!?あなたがここにいるのは珍しいわね。」

「あぁすぐに発つ。Hランクのクエストの途中だからな。ターゲットが逃げちまったからオレもいったん戻ってきたんだ。疲れたからな。」

「ゆっくり休んでね。」

クランがそういうとノワールは自分の部屋へ向かった。

周りを見渡すともうほとんどの人は散らばっていた。

「はぁ…やっぱ勝ちたかったなぁ。」

祐樹がつぶやくとアリスが言った。

「ちょっとっ!みんなして私に勝った勝ったっていうと私が弱いみたいじゃない!言っとくけど雷の術しか使ってないんだからねっ!」

アリスも意地を張るんだなぁ…

「でも…」

「いいじゃないか。これから頑張ってクエストこなしていけば強くなれる。」

珍しく僕が祐樹を励ました。

「そうよ!あなたたち早く私たちのタッグ、<ジュピター>に追いつきなさいよっ!」

クランがこちらへきて話しかけてくれた。はじめてあった時と目の色が違う気がしたがどうでもいい。

「タッグ名なんてあるんですか?」

「つける、つけないは自由だけどね。」

アリスが簡単に言って続ける。

「さっきの戦いであなたたちを見た結果、どのランクから始めてもらうか決めたわ。」

祐樹は興奮を抑えきれずに聞く。

「何ランクなんですか!?」

「Dランクよ。」

一瞬世界が静まり返ったと思った。

「何で?アリス?この子達は強かったんじゃないの?」

クランが戸惑っている。

「そうね。なかなか戦闘中の頭の回転も早かったし、力をうまく使って助け合って頑張ってたわ。」

「じゃあ何で…」

「実質の力は絶対にBランクはあるわね。でも力の使い方がまだ下手だからすぐに力を消費してしまう。そこに攻撃されたら諸刃の剣じゃない。相打ちじゃ意味ないの。クエストで死ぬことだってあるわ。犠牲を出したくないの…」

アリスは悲しそうだった。

「だから簡単なクエストからこなしていって、力がうまく使えるようになってきたらランクを上げればいいのよ。」

僕たちだって死にたくない。

「アリスってば優しすぎるんだから。」

クランがつぶやいた。

「そうだね!物事は順序良くだし。竜、頑張ろうよ!」

「おう!」

よかった…祐樹も落ち込んでない。

「じゃあ私クエスト行ってくるからね。頑張ってね。」

クランが行ってしまい、アリスと僕たちだけになった。

「ところでDランクって何をするんですか?」

「Dランクは基本的にものを運んだり、採取をしたりするだけよ。」

簡単そうだな…難しいクエストを期待していたのでしょんぼりする。

「Cランク〜Aランクは悪い人やたまに地上にくる怪物とかを倒すのよ。難しさでランク分けされてるわ。」

僕の知らないところで地球上に怪物なんていたのか…

「Sランクは簡単に言うと国が動くぐらいの騒ぎをどうにかして誤魔化すってところかしら。失敗は許されないわ。」

ありえないな…

「Hは何っ!?」

祐樹はもうHランクにでもなるつもりか…

「Hは地球を滅ぼす可能性のある生き物を倒すの。」

まったく…世の中の裏の摂理は恐ろしい。

「さっきのノワールって人はそのHランク受けてたんですよね…?」

「そうよ。ターゲットは人の形をした怪物よ。そいつを探し出して倒さないと地球が危険だから3年ぐらい前から追ってるのよ。体を自在に変化させれるから見失いやすいの。Hランクのクエストをしていいのは今はエノとノワールしか認めてないわ。」

すごい…あんな小さな子が…

「さっきの人たちはどういう術を使うんですか?」

「風よ。純正の風の属性ね。祐樹と同じように。エノは…よく分からないわ。すべての術が使えるの。しかもすべて相当な威力を持ってるわ。無の属性じゃないから異の術は使えないけどね。ブランは火よ。他にアレンは水の属性を持っている中で一番強いわ。雷はクリスよ。火の属性を持っている中で一番強いのはレミイって子なんだけど…女の子が一番なんて火の属性の男たちは何をしてるのかしら。」

「え!?」

祐樹が驚きの声をあげる。

「雷の属性で一番強いのってスパルじゃないんですか!?」

アリスが悲しそうな顔をする。涙をこらえているのが良く分かる。

「スパルは死んだの…クエストをしている途中で…」

僕たちは声をかけてあげることもできなかった。

「スパルの二の舞にならないようにあなたたちはDランクから初めてもらうのよ。」

アリスはほんとに仲間を大切にしているんだと分かる。

「Sランクのクエストはエノを含めてその各属性の一番強い人たちしか認めていないわ。Aランクから下は結構いるわよ。」

へー…早く強くなりたいな。

「よし!いろいろ分かったところで何もしなかったら始まらない。クエストに行こう!」

「うん!僕もそう思ったとこだ!」

「クエストはクエストボードについている紙をとって私に渡してくれたらいけるからね。」

2人は競争するようにクエストボードへ走っていった。

「あの子達ってばせっかちなんだから…」

クエストボードにたどり着いたらまず思った。

「チーム名何にする?」

「大丈夫!もう決まってる!」

祐樹は自信に満ちた顔できっぱりといった。祐樹のこういう顔は非常に信用できないものだ。

「なんだ?」

「最強ズ!」

「却下。」

祐樹からブーイングが巻き起こる。

「じゃあ竜はなにがいいって言うんだよっ!」

「僕の属性は無で君の属性は雷だから無雷(ムライ)ってのはどうだ?」

「おお!かっこいい!それでいこっ!」

単純なやつ。そしてアホだ。無雷だと雷が無いみたいじゃないか。

まぁ僕はどちらかと言うと雷を使うのやつの口数が無くなってほしいと言う思いを込めたんだけどね。

「じゃあクエスト行きますか。」

「初クエストは思い出に残るものにしようね!」


最後まで読んでくださり、有難うございました。

次回は竜と祐樹が初めてクエストに出かけます。

2人の初挑戦です。

是非みてやってください。

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