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非力

アリスは開始の合図と同時に何かぶつぶつ言いながら僕たちと反対方向へ走っていった。

「ホントに空間移動の術とか使わないんだなぁ…」

「竜!そんなこと言ってる場合じゃないって!ぶつぶつ言ってたのは多分、術を発動するための呪文か何かだよ!逃げよ!」

そのとおりだと思うがホントピンチになると頭の回転が速くなるなぁ…羨ましいぞ。

祐樹は後ろに逃げようとする。

「待て!逃げるよりも追いかけたほうがいいんじゃないか!?どうせ捕まるのがオチだろ!」

「確かにそうだ…追いかけるよ!」

アリスに向かって2人で追いかける。

「なぁ!二人一緒だと危なくないか?」

「それより空に雲みたいなのが出てきたよ!まずいんじゃない!?」

祐樹はオレの意見を見事にかわした。

しかし祐樹の意見のほうが大切だったようだ。

雲はみるみるうちに上一面を覆いつくした。

「逃げ道はないってか…」

「まずはウォーミングアップよ!」

アリスがそういった気がした。

次の瞬間、とてつもない量の雷が嵐の如く襲い掛かってきた。

雷が落ちた場所はまるで隕石が落下したあとのように真っ黒になり、空間が修復されてもとに戻る。

「おい!シンクロが一番しにくいって言うことは一番弱い業ってことじゃないのか!?」

「アリスはギルドの長だよ!強いに決まってる!早くばらばらになって逃げるんだ!」

祐樹がいろんな方向へ走り回る。

僕もすぐさま雷を避けようとするが、さすがに避け続けているわけにはいかない。

かといってここは雷を防ぐようなものは何もない…

待てよ…僕の力は消すことじゃないんだ。創り出すことなんだ!

「祐樹!こっちへ来い!」

「固まったら集中して狙われるだけだよ!」

「いいから!」

祐樹が僕のもとへ来た。

僕はすぐに地面を原子に分解するように手を地面にかざしてその手を周りに振る。

原子たちはすぐに形となり、僕と祐樹が入れる小さなドームができた。

「すげー…ナイス竜!」

「早く中に!」

アリスはまだかなり向こうにいる。

「自分の力を早速使ってみたわね。せいぜい頑張ってよ。珍しい術者さんたち。」

中に入るとほっとして力が抜け、へなへなと座り込んでしまった。

「まだ戦闘中だよ!」

分かってるが…力を使うのは少し疲れる。慣れるまではあまりむやみに使えないな…

ふぅ…一応立ち上がって壁にもたれかかった。

「ここからどうするの?」

「ん〜…」

外は依然として雷が降り続いている。

「早くあの雲をどけないと時間すらわからないよ。」

祐樹の言うとおりだ。

「あの雲…祐樹の力で退けられないかな?」

「簡単に言ってくれるね…やってみる。」

祐樹は片手に力を込めた。

するとすごい高電圧だと思われる電気がピリピリと手の周りにまとわりつく。

その手を思いっきり雲に向けて押し出した。

すごい速さで青白い電流が雲を切り裂いた。

その威力はとんでもないもので、雲全体を蒸発させてしまった…

「お前…化け物か?」

あ然としていると隣では祐樹が肩で息をしていた。

「これ…疲れるね…」

祐樹も力を使ったらすぐ座り込んだ。

空はまだ水色より少し薄いくらいだ。

「やるじゃない…でも安心してる場合じゃないわよ。」

今度はアリスがこちらへ走ってくる。

電気で作られたと思われる棒のようなものを手にして…

「やばいな…あれでたたかれたら泣き叫んでいる子も黙るだろうな。」

「そんなこと言ってる場合じゃない!まず外に出よう!」

祐樹は呼吸を落ち着かせて外へ出ていくところだった。

僕も祐樹に続く。

外に出るとアリスはもうすぐそこだった。

「まずい!祐樹、走れるか!?」

「当たり前じゃん!戦場では疲れてなんかいられないよ!」

立派な心持ちだ。

「さっきと同じように散らばるぞ!」

祐樹はアリスの右へ、僕は左へいく。

アリスはどちらへ行くだろうか。

「行くぞ!」

祐樹はそう叫ぶと、手に電気の球みたいなものをたくさん作ってアリスに投げつけた。

僕も床をに手をかざして原子に分解し、そのままアリスめがけて手を振る。

「こんな直線的な攻撃じゃあたらないわよ。」

アリスが飛んだ。と思うと僕の原子が祐樹に、祐樹の電気が僕に向かってきた!

「うわっ!」

とっさに身をかわしたが避けきれなかった。

体か少し麻痺する…正座をずっとし続けたような感覚だ。

祐樹のほうは無数の原子をすべて避けたようだ。すごいな…

「竜!」

こちらへ駆け寄ってくる祐樹。

「何やってるの!?敵は待ってはくれないわよ!」

そういうと2人が固まったところに、祐樹が作った電気の球の数倍はあると思われる電気の玉を投げつけてきた。

「祐樹!逃げろ!」

僕は体が麻痺してうごかない…

「そんなのダメだ!僕が守る!」

祐樹はそういうと自分の精一杯の力で出しただろう電気の壁を作る。

しかし、勢いは落ちたが防ぎきれなかった。

「うわぁああああああ!」

その場で倒れこむ…直撃だ。

「祐樹!何やってるんだよ!逃げろって言ったのに…」

自分の非力さに腹がたつ…まだ力についてほとんど分かってないのに、自分が非力だということは身にしみてわかる。

「1人はもう行動不能ね。あなたももう動けない。勝負あったわね。」

アリスがこちらへ近づいてくる。僕の手足はまったく動かない。

空を見上げるとまだ水色だった。まだ10分くらいはあっただろうに…負け…か。

そのとき、祐樹が電気の球を飛ばした。

「何!?」

アリスは手に持っていた電気棒のようなもので防いで後退した。

「おっしー…」

「まさか…まさかあなた避雷針のようにすべての電気を地面に放電したの!?」

「わかんないけど多分ね。」

祐樹が立ち上がって僕に手を差し伸べる。

「大丈夫かよ?」

「なんかまったく痛くないし体も痺れてないんだ。」

「ったく…心配させんなよ!」

僕は痺れて動けなかったが、祐樹が僕の体に触れたとたん、痺れがとれた。

「あなた…電気系の術をすべて無効にすることができるのね…まったく頼もしいこと。」

アリスがこちらへくる。もう一度逃げようと思い、今度は2人一緒に走り出す。

直ったばかりの足が少しもつれる。

「逃げてたら私に攻撃は当てることはできないわよ!」

ごもっともです。でも今は逃げるほうが優先だ。

「あと五分もないわ!回復している時間はないわよ!」

そういうころにはアリスは目と鼻の先にいた。

とっさに僕は床からの原子で巨大な壁を作り出す。が即座にアリスの手のうちの棒で円形に切られた。アリスが向かってくる。

アリスはまたぶつぶつ言いながら僕たちに手を向ける。

「僕がたてになるっ!」

祐樹が僕の前に立ちはだかる。

「ダメだ!」

なぜかは分からないがダメな気がした。

「竜の言うとおりよ!」

「え!?」

遅かった。アリスは僕たちに向けて電気を放った。

見事に僕たちに直撃すると、倒れこんで体が麻痺した。

「な…んで…」

祐樹は相当ショックだったようだ。

「残念ね。術の中には体質無効化の魔法や術があるのよ。」

空を見上げるともうじき真っ青になるだろうと言うところだった。

「私に攻撃を与えることはできなかったけど惜しかったわね。この話はゆっくり本部でしましょう。戻るわよ。」

そういうとギルドの本部についていた。

読んでいただき、有難うございました。

次回はいろんな仲間が出てきます。

これからもよろしくお願いします。

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