神龍
ふっとエノが現れた。
「エノ!?大丈夫だったか!?」
「僕があんなのに負けるわけがないじゃないか。」
状況が読めない祐樹。
「2人とも何があったの?」
話してやると、不思議そうな表情を浮かべた。
「なんで僕だけ?」
「だから今考えてるの。」
エノが反応した。
「いろんなところで魔力が戻ってきている。みんな傷は負っているが、死んでいない。」
よかったと、胸をなでおろす。
「エノって魔力の察知がうまいんだね。」
「まぁな。」
軽くかわした…
「ふふふ……君たち、ちゃんと生きているじゃないか。」
またベインが現れる。
「さっきのは、何が目的だ!?」
「おや?みんな帰ってきましたか…100人ほど死んでくださると思ったのですが…」
く……質問無視か…
「まぁいいでしょう。私の役目は終わりました。では…」
消えた…
何しに来たんだベインは…
「遠いところに大きな魔力が9つ……」
「ここにも1つ」
「な!?」
後ろには知らないやつがいた。
でも……敵ってことは分かる。
「オレはクリア。お前たちを消すものだ。」
「クリア…だと…?」
エノの表情が一変した。
「どうしたの?」
「クリア……別名、キャントシー……見ることができないやつだ。」
「よく知ってるじゃないか」
あれ?
消えた…
「正確には、見ることができないだけじゃなく、魔力を消したりすることも出来るんだがな。」
「うわぁっ」
祐樹が吹っ飛ぶ。
「おい、お前ら下がってろっ!」
「そうだ。オレはお前にしか用ねぇからな。」
エノに向かって攻撃を仕掛ける。
敵が見えないのでは困る…
「祐樹、大丈夫か?」
傷を治療する。
「うん……」
頭を殴られたのか、意識が朦朧としている。
「そういやさ、何で僕たち普通に空中にいられるの?」
「知らないよ。」
多少意識がしっかりしてきたようだ。
多分、空中にいられるのはエノのおかげだろう。
戦闘をしながらこちらにも気を配っている…
「祐樹、下に下りるぞ。」
今できる最善の余地はこれしかない。
「エノ、頑張ってくれ…」
「あいつら、なかなか利口じゃないか。」
「あぁ、そうだな。」
く……敵が見えないのが、こんなにも辛いとは…
仕方ない。
右手に風、左手に水を…
「食らえ、一瞬の寒。」
前とは違い、天候が変化する…
吹雪になってきた。
「おい、お前知ってるか。」
「何がだ?」
見えない相手に向かって話しかける。
「さっきの部屋だ。あれは単に、お前らの仲間を消そうとしてしたものではない。」
「だったら何だって言うんだ?」
笑い声が聞こえる…
「消そうとして作った部屋もあるだろうな。しかし、別の意味もあった。」
なぜコイツは冷気の中、こんなに落ち着いていられるのか…
「それは、相手の術を見るためでもあったんだ。」
「そうかそうか。でもここまで荒れた天候を、どうにかできるものか?」
吹雪はうなり声を上げ、吹き荒れる。
「もう一つ問おう。オレのナンバーを知っているか?」
「8だろ。その程度で僕をたおそうなんて無理だよ。」
「ナンバーなんて飾りなんだよ。ただオレは8が好きなだけだ…」
よし、思ったとおり。
話しているうちに冷気で相手の姿が見えてきた。
光で屈折させて、見えなくしていただけだったのだ。
クリアは気づいていない…
「オレの力、教えてやろう」
「その前に死ぬよ!」
ねじれた氷柱が、相手に突き刺さる。
「氷柱の集合点!」
敵は消え去った。
「所詮はNO8だ。」
「人の話は最後まで聞こうぜ。」
何!?
「ぐあ……」
腹に無数の穴があく…
「オレは煙にもなれるんだ。どちらにせよ、見えないがな。」
くぅ…さっきはわざと見えるようにしたのか…
「じゃあな。」
手に火を集め、拳を作って殴りかってきた。
死んだな…
「何!?」
瞑っていた目を開けた…
「悪い、遅くなって。風操るの難しかったんだ。祐樹は風使えないから下にいるよ。」
そこには竜がいた。
「…お前…死ぬぞ?」
「かまわない。決めたんだ、約束したんだ。あいつと……」
どんなことがあっても、守ってみせると。
もしあの力を使って、大変なことが起きても、なんとかなるさ。
出来る限り使いたくなかったんだけどなぁ…
「消えろっ!クリア!」
体中から一気に魔力を放つ。
「ぐ……なんだ…お前……は……」
クリアが本当に消えた…
「お前……その力は…」
「ぐぅああああああああ!」
何かが起こると思っていたが、やはり……
「くぅ…ぐぐぐ…ぐうぁああ!」
「何だ!?」
眩い光に包まれ、エノが吹き飛ばされる。
「うぉおおおおおお!」
「竜!!!!」
祐樹の声は、もはや届かない。
「竜!!!!!!!!!!!」
ゆ……う……き…?
「ぐわっ!」
と…止まった。
いや、違う…これはただの…儀式…
「上だ!」
エノが叫ぶ…
上には……龍!?
「なんだ……このデカイのは…」
「緊急事態だ……」
そういう割りに、非常に喜んでいる。
「まさか、自分で呼び出してくれるとは……」
「ねぇねぇ!ベインっ!あれ何!?」
「あれは神龍だよ…」
まったくキューブのほうを見ようとせず、ただ言葉を並べる。
「計画変更だ。」
「クリアが死んだよ?」
ベインは一瞬たじろいだが、すぐに元に戻る…
「その程度の男だったと言うことだ。」
「ローズフィリア、スパル、キューブ、ロザリオ、レイジ、フェニックス、ウロ、ロデフ。みんな、ついてきてくれるか?」
みな頷く。
「では行くとしよう。我が進化を持って、新世界へ。」
ばっ…
目覚めが悪い…
嫌な予感がする。
即行で着替え、アリスの下へ行く。
「アリス、ヘレンは?」
「先に行ったわ……それより、まずいことになってる…」
「私も行くわ!」
「待ちなさい!」
この頃のアリスは怖い…
「今行くと危険だわ。おさまってからにして…お願い。」
深刻な表情だ…
それほどまでにまずいことが起きているの?
「何が起きてるの?」
「ベインが近頃、頻繁に動き出したのは、これを狙ってたのね…」
聞いているのか?
「私が止めないと、私が…絶対に。」
いや、聞いてないだろう。
外では何が起こってるの?
空は、死んでいた。
最後まで読んでくださり、有難うございました。
これから、入試なので更新が遅れるかもしれません。
すいません。
これからもどうかよろしくお願いします。