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ユニオン

さっき来たときと同じ場所に着いた。

「うわっ!さっきより、10体くらい増えてるよ!」

「あぁ…一匹ずつ倒して回ろう。」

安部さんとの戦いがあってから、オレたちは魔力を察知できるようになった。

だから薔薇がいる場所や、大体の数は分かる。

「どこから行く?」

「一番近いところから効率よく。」

走っていると、だんだん薔薇に近づいているのが分かる。

「近いよ。」

「分かってる。」

周りを見渡す。

「あった!」

祐樹の掛け声と共に、紅界を張る。

その黒い薔薇は紅界を張ったとたんに、変化した。

徐々に大きくなり、やがてさっき戦った相手くらいの大きさになった。

「あ〜ぁ…見つかっちゃった。」

お遊びのようなセリフだ…

出来る限り不意をついて破壊したかった。

「竜、あんまり飛ばしちゃダメだよ。まだたくさんいるから…」

分かってる。

小さな声で、最速で、出来る限り力をあまり使わなくて良い作戦を立てた。

「何こそこそ話してるのよ。」

ツルをムチのようにして攻撃してくる。

かわした。

オレはすかさず薔薇の後ろへ回り込む。

祐樹は手に雷刀を持って、その場から動かない。

「そんな短い剣じゃ当たんないわよ!」

ツルのムチで祐樹に攻撃しまくる。

「ぐ…」

祐樹はすべての攻撃を防ぎきれていない…

急がないと…

あと少し、あと少し…

着いた!

あとは鉄の原子を集める…よし、鉄球ができた。

「祐樹!いいぞ!」

合図と共に薔薇に向かって走ってくる。

オレと薔薇は一直線上にいる。

「いっけー!」

祐樹が薔薇に向かって雷球を投げつける。

「当たるわけないじゃない。」

上へ飛んで、避けられた。

その雷球はオレに向かって飛んでくる。

鉄球でその電気を吸収する…

その鉄球を、思いっきり、あいつに向けて、

「飛ばす!」

鉄球はあいつに当たる。

「ふ、こんなもの痛くも痒くも…」

鉄球は電磁石となっている。

それに向かって鉄の原子を纏わせた電気の使い手が飛んでゆく。

雷刀が薔薇の体を切り裂く。

「う……」

薔薇が朽ちていき、消滅する。

祐樹が格好よく着地した。

「竜っ!」

駆け寄ってきて、オレの体に祐樹が触れた途端に痺れが消えていく。

「大丈夫?」

「あぁ。大丈夫。お前こそ攻撃何発か受けたろ。」

そう言いながら祐樹の傷を治す。

「この作戦は今度から使わないようにしよ…」

そうしてくれたほうがありがたい。

ふぅ…

「あまり魔力も体力も使ってない、このペースで倒してくぞ。」

「無理っぽい…」

ん?

あ…

「そうかもな…」

オレたちは戦闘に夢中だった。

魔力で、敵の強さは大体分かる。

今、倒した敵は僕たちで倒せるレベルだ。1体か2体なら…

「どうしよう…」

周りには、8体の薔薇がいた。

「囲まれた…勝てそうにないな…」

「まだ戦闘に夢中で、私たちに気がつかないなんて、経験不足のハンターってところかしら?」

そいつの言うとおりだ。

「さっさと倒してローズフィリア様に報告したいわ。協力しましょう。」

ローズフィリア?誰だ?

「竜、まずい!早く逃げよう!」

あいつらは腕を絡み合わせて一箇所に集まっていた。

「合体でもするつもりか…」

「合体されたら多分、勝てない…」

あぁ…分かっている。

「魔力の大きさが半端じゃない。」

オレたちは走り出す。

「出来る限り逃げないと…」

「ちょっと待った!」

オレは祐樹を止める。

「逃げても、どうせ追いつかれる。無駄な体力は使わないほうがいい…」

「そうだね…」

立ち止まると、急に怖さが込み上げてきた。

逃げていたほうが絶対に怖くない…

でも、倒さなければ意味はない…

「あら…賢いじゃない。少しは頭がいいのね。」

やっぱり…

薔薇の集合体は、僕たちの逃げようとしていたところに先回りしていた。

「あなたち遅すぎるわ。普通に走ってたら追いつかれるに決まってるじゃない。」

とんでもない魔力を感じる。

でも…ベインとは比べ物にならないほど小さい…

「なんかさっきまでの面影全然ないね…」

「そうねぇ…こっちのほうが…美しいわね。」

祐樹、お前のキモはすごい…化け物と会話しているとは…

いや、見掛けは化け物でないからまだ会話できるのだろう…

「竜…あいつ人型になった…ヘレンに聞いたんたんだけど、人型はヤバイんだって…知能も高くて、移動も早い、そして何よりこの魔力…」

「あぁ…人型は危ないことは分かった…次があることを祈って、次から気をつけるよ…」

「ふふっ…次があると思う?」

な…人になった薔薇は僕たちの後ろに移動していた。

「いいこと教えてあげる。魔力を足に集中して動けば、少しは早くなるかもね。」

あの薔薇は確実に楽しんでいる…僕たちにアドバイスして、長い間楽しもうとしている…

「せいぜい楽しませてよ。」

「君は…なんて名前なの?」

おい、祐樹…この状況で名前聞くことはないだろう…

「名?さっき出来たばかりなのにあるわけないじゃない…」

そりゃそうだ。

「まぁ合体して出来たものたちはユニオンって総称で呼ばれるわね。」

「そうか。」

「でもあなたたちには関係ないわ。すぐに死ぬんだもの。」

「誰が?」

そのとき、祐樹が一瞬消えた。

そしてユニオンの首を雷刀で切り落とした。

「な…なんで…」

「ユニオン、君が教えてくれたんじゃないか。」

「く……教えるんじゃなかった…まぁいい…他にも私のようなものはいくらでも…」

消えた。

オレは何も出来なかった。

「ゆ…祐樹っ!」

「あぁ竜、物は試しだねっ…」

聞いたことをすぐに実行するなんて…

「無茶すんなよ……でも助かった、ありがとう。」

くそ…

オレは2週間修行してたんじゃないのか?

何をしていたんだ…

反吐が出る…

実践で何も出来なかったら意味はないんだ。

「ここら一帯の薔薇は無くなったね…」

「あぁ…あ!」

まずいことに気づいた。

「どうしたの?」

「最期にあいつが言った言葉……」

祐樹も気がついたようだ。

「他にもユニオンはいる……」

そして、声をそろえて叫んだ。

「クランとヘレンが危ない!」



最期まで読んでくださって有難うございました。

戦いはまだまだ続きそうです。

末永く見守ってください。

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