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黒い薔薇

「うわっ!」

ぐさっ。刺のようなものが祐樹の周りに突き刺さる。

「祐樹、最後だからって気抜いちゃだめだ!」

「分かってる、気なんか抜いてないっ!」

周りは紅界が張ってある。

修行で紅界の張り方は教えてもらった。

「ふふふっ…よく避けてるわねぇ。」

気味の悪い、黒い薔薇が話した。

「お前、動けないんだろ!?」

槍のようなものを薔薇に向けて飛ばす。

「あら、そんなこと無いわよ。」

下からツルが出てきて打ち落とされた。

「体自体は動けないってことじゃん!」

後ろに周り込んでいた祐樹が雷球を放つ。

「だからそんなこと無いってば。」

ツルが薔薇を持ち上げる。

「空中じゃ身動きできないでしょ!」

「しまったっ!」

祐樹がもう一度、さっきより力をためて雷球を放つ。

「なんちゃってね。」

薔薇の前にはツルを編んで出来た、網のような盾で防がれた。

「防がれることなんて百も承知だよっ!」

オレはすかさず槍を飛ばす。

もちろんさっきより全力で。

「いっけぇーサウザントスピア!」

「きゃぁあああ!」

やった。薔薇はすぐに朽ちていく。

「おのれぇ……」

薔薇が消滅した。

「ナイス竜っ!」

こちらへ駆け寄ってくる。

「お前もナイス陽動だったぜ!」

「ありがとう。でも竜、サウザントスピアはないんじゃない?」

少し引いている祐樹。

恥ずかしくなる…

「うるせーっ!」

紅界を解く。

「ありがとうございました。あの薔薇があんな怪物だったなんて…」

オレはキーを受け取る。

「いえっ!困ってる人が居たら、例え無償でも働きますよっ!」

おじさんは苦笑いしている。

「では失礼します。」

<入る>

と念じた。




さて、なぜこんなことになっているか。

オレは修行がやっと終わり、祐樹と一緒にクエストを探していた。

そのときに、アリスから「あなたたちにCランクのクエストで頼みたいものがあるの。このクエストがうまくいったら、Cランク術者として認めてあげる。」と言われた。

祐樹は大喜びで、オレも、不安もあったが嬉しかった。

そして、それと同時に「危険なクエストになるかもしれない。気を引き締めて。」とも言われた。

内容はこうだ。



ランクC


<依頼内容>


全国各地で黒い薔薇が見つかっています。

その薔薇は一見、美しいだけに見えます。

しかし、その薔薇を採ろうと手を伸ばしたとき、噛み付いてきたのです。

この世の理から離れているものだと悟りました。

その薔薇のせいで、死んだ人さえあります。

被害は深刻なものです。

世界がパニックに陥る前に、すべての薔薇をどうにかしていただきたいのです。


契約金 1000F

報酬金 1つの都道府県につき、50000F

感謝金 契約金×5



場所は日本だった。

この依頼をアリスは深刻に受け止め、1つの都道府県に、1タッグの術者を向かわせた。

1つの都道府県に責任者1人がいるからその人の言うとおりに動く。

「絶対死んじゃだめよ。」

最後にそう言われた。

なぜか、その言葉がとても重く感じられた。





本部に着くと、怪我をしている人がたくさんいた。

その中に、クランとヘレンもいる。

ほとんど無傷なのは僕たちだけだろう。

クランは軽症だが、ヘレンは腕に深い傷を負っている。

「ヘレン!大丈夫!?」

まさか、一番に駆け寄っていくのが祐樹だとは思わなかった。

というか、いつの間にそんな親しくなったんだ。

いや、そんなこと言ってる場合ではない。

「クラン、大丈夫っ!?」

僕も素早く駆け寄る。

「私は平気よ!でも、ヘレンが、ヘレンが私を庇って…」

クランは泣いている。

「クラン!何言ってるの!?あたしは重症かもしれないけど、死ぬことは無いから大丈夫よ。泣かないで。」

怪我をしているほうがしてないほうを慰めるのは変な光景だ。

「ホントに大丈夫?」

祐樹の真剣な顔を久しぶりに見た…

ヘアリーは他の怪我人を治すことで手一杯だ。よし、修行の成果を発揮するぞっ。

「祐樹、ちょっと退いて。」

「何するんだよっ!」

「治すんだよ。文句ある?」

祐樹はおとなしく退いた。

手を傷口にそっとかざして、細胞を作り直す。

予想以上にうまくいった。見る見るうちに怪我は治っていく。

「うわぁ…竜っ!ありがとっ!」

クランが飛びついてきた。

「っちょ…」

恥ずかしくて戸惑う僕を無視し、泣きながら何度もお礼を言うクラン。

ヘレンは腕の調子を確かめているようだ。

「竜、いつの間に治癒の術覚えたの!?」

祐樹は嫉妬しているようだ。

自分の性格の悪さがこういうときによく分かる。

「教えてあげないっ!」

「っちぇ。」

「竜、ホントにありがとう。助かったわ。これですぐクエストに戻れる。」

え?

「もしかして、ヘレンってクエストの途中で帰ってきたの?」

祐樹が探るように聞く。

「いえ…一応すべての薔薇は破壊したわよ。」

「じゃあどうして?」

クランがあとを引き継ぐ。

「薔薇が増殖してるらしいのよ。私たちが倒したあとで、また依頼が来たようなの。」

「祐樹、もしかして愛知県も増えてるかも!」

「えぇ。そのとおりよ。」

後ろにはリリーがいた。

「みんな!静かに聞いて!」

ロビーにいたみんなが静まり返る。

「Cランクの薔薇のクエストで、今から言う都道府県に配属されていた人はもう一度向かって!」

リリーが都道府県を読み上げていく。

「………以上。呼ばれなかったところは傷の手当てをしながら待機!」

静まり返ったロビーがどっと騒がしくなった。

「僕たちのところ…まただね。5体も倒したのに…」

「おう…何が起きてるんだろう。」

「僕たち行かなくちゃ。ヘレンはどこに配属されてるの?」

「私たちは岐阜県よ。近いわね。」

にっこりとしたが、県と県は案外遠いことを知らないのか?

「祐樹、行くぞ。」

オレはもう行く準備をしていた。

「分かった。共に無事であることを祈ろうっ!」

祐樹がこちらへ来た。

<出る>

そう念じた。






「始まったかね?薔薇の侵略は。」

「あの子達が順調なように、こちらも順調よ。」

ローズフィリアが答える。

「なんせ2週間もあったからな。他のものたちも準備は出来ているだろう。」

みな無言だ。

「返事がない、と言うことは準備万端ということで進めさせてもらうよ。」

「もし準備が出来て無くても、僕たちは止められないよっ!」

キューブが笑う。

「準備が出来ていなければ、今のうちにしとけばいいさ。」

ベインはワインを飲んでいる。

「ローちゃんのあれって意味あるの?」

小学生くらいの子がゲームをやりながら聞いた。

「私のことローちゃんって呼ぶのやめてよねっ!それにちゃんと意味あるんだから!」

「あ〜あ〜死んじゃったぁ。まぁいいや。」

「ちょっと聞いてないじゃないっ!」

なんだか賑やかだ。

「ゲームばかりしてないでちゃんと準備をしろ。お前が準備を怠っているのは分かっている。」

少しお怒り気味なクリア。

「クリアは真面目すぎるんだよー…」

「いや、クリアの言うとおりだ。ちゃんと任されたことは果たす。それがファミリーの掟だろう?」

「はぁ〜い。」

少年はどこかへ消えた。

「計画は順調だ。この世にもそろそろ移動する準備をさせないとな。」


最後まで読んでくださり、有難うございました。

大変なことになってきましたね。

自分で言うのもなんですが、初めのころに比べてだいぶまともに書けるようになって来た気がします。

これから戦闘続きとなると思うので、これからもよろしくお願いします。

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