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回復、始動

そんなこんなで2週間ほど修行とクエストを繰り返していた。

ここの所、祐樹とはまったくあってない。

今日もいつもと同じ修行のつもりでアリスと外へ移動する。

「そろそろ力の制御も、術の発動時間の短縮もできてきたところだし、今日で最後ね。」

「もう終わりですかっ!?」

アリスはあきれたようだった。

「分かってないわね。クエストはお金を集めて道楽するものじゃないの。お金を集めるためにクエストがあると初めに私は言ったかもしれない。でも、それは結果であって目的ではないのよ。」

よく意味が分からない。

「本当の目的は力をつけて、ベインの陰謀を阻止することだって!」

「そういや、そうでしたね。」

忘れていた。でもオレの目的は違う。誰にも傷ついてほしくないことだ。

「だからもう、クエストで力をつければいいのよ。あとは…」

あとは…なんだ?

「私が初めに言ったこと覚えてる?」

「たしか、魔力の配分の仕方を修行するって…」

「もう1つ言ったはずよ?」

なんだったっけ……

思い出した!

「想像力…ですね。」

「そうよ。なぜ必要か分かる?」

「想像を創造する…ため?」

「分かってるじゃないっ!」

いや、言っておこう。

アリスが前言ったことをそのまま言っただけだ。

「無の属性の人には想像力がとても大切になってくるのよ。特にあなたのような力の子にはね。」

「力だけではダメってことですか?」

そのとおりと言う顔をするアリス。

「あなたは治癒の術とか必要ないのよ。」

「ぇ!?でも…誰かを助ける力がほしいんですけど…」

「だから、想像力が必要なのよ。」

ピンと来ない。

「例えばここで傷ついている子がいるとする。その子を助けるにはどうする?」

「ギルドへ戻る…」

「違うわよ!」

アリスがむきになっている。

「あなたが助けるの。あなたの力でね。」

「治癒の術なんて知りませんけど…」

「傷口を原子で分解して元の皮膚に再構築すればいいじゃない。」

あ…

「そうすれば元に戻るわ。」

「それって…」

「そう、誰にも劣らない治癒の術が使えるようになるわよ。」

にっこりとするアリス。

「でもこれはあくまでも私の想像よ。だからあなたの想像を、現実とするの。分かった!?」

「はいっ!」

僕は神に嫌われて力を授かったと思ってた。

違った。

きっと僕は神に愛されているんだ。

なんて素晴らしい力だろう。

「これで修行は終了よ。また、本当に力が必要になったら来なさい。」

「ありがとうございました!」




なんでだろう…この頃竜とまったく会わないなぁ…

ヘレンが言うには、睡眠時間は、1度寝ると6時間ぴったりらしいから寝る時間がずれているのだろう。

傷の痛みもほぼ無くなった。

よしっ!竜と一緒に修行に励むかっ!




本部に戻ると、祐樹が居た。

「祐樹っ!なんか久しぶりだなっ。」

「うん!目が覚めると竜、いつもいないんだもん。」

久しぶりに見た祐樹は何も変わっていない。

「竜、なんか雰囲気変わった?」

「あぁ…うん。ちょっとかわったかもね。」

まだ強気になるのは慣れていない。

「そうだ!そろそろ傷が治ってきたから、僕も修行に付き合わせてよっ!」

目を瞬かせて、アリスと顔を見合わせると、吹きだしてしまった。

「ゴメンっ祐樹。今日ちょうど修行が終わったところなんだ。」

「え。」

呆然とする祐樹の顔が目に映る。

笑いを必死にこらえた。

「僕だけ置いてけぼりじゃないかっ!」

むきになって話す祐樹はホントに何も変わっていない。

「大丈夫だって。今度アリスに特訓頼めばいいさ。」

納得したのか、静かになった。

「明日か明後日にはクエスト行こうな。」

笑顔になる祐樹。

「当たり前じゃないかっ!」





「ん〜。我ながら自分の作り出した空間の中で見る月は美しいねぇ。」

会議でもしているのだろうか。

丸く並べられた椅子はそれぞれ種類が違う。

空中にモニターが映し出される。

「あの子達は順調ですねぇ。」

「そうね。いずれ大きな力となってくれるでしょうね。うふふ。」

不気味な雰囲気。

「何でベインってば、あの子達ばっか見てるのっ!?僕だって強いじゃんっ!」

子供がベインのひざの上で拗ねている。

「キューブ。君には戦う必要がないのだよ。私たちファミリーは子供を前線に立たせるようなことはしないさ。」

にっこりするキューブ。

「じゃあ、死んでもいい子がほしいんだねっ!」

口元だけで笑う。

「そうだよ。いい子だ。よく分かってるじゃないか。」

「いつまであの子に纏わり着くつもりだ?」

男が声をかける。

「纏わり着くとは嫌な言い方だねぇ。NO8の男、クリアよ。」

対抗するように嫌味を言うベイン。

「オレがNO8でとどまっているのは、単に8と言う数字が好きだからだが、文句あるか?」

「ちょっとやめなさい!」

「なかなか賢明な考えだよNO7,ローズフィリア。」

女は冷静に対処する。

「私たちはファミリーです。仲間内で喧嘩しても仕方ありません。」

「喧嘩なんてしないよぉ!ベインは仲間を傷つけたりなんてするもんかっ!」

不気味な笑いをするベイン。

「やっぱりキューブはよく分かっている。私は仲間には手を出さない。安心してあの子達を見守りなさい。ゆっくりとあの子達が絶望していく様を見ようではないか。」

月が闇の中で笑っていた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

修行もやっと終わり、クエスト再開です。

ベインたちは何をたくらんでいるのでしょうか。

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