ギルドと闇ギルド
あれから何分たっただろうか。
依然として暗黒は続いている。
いろいろと調べたり、祐樹と話し合って今がどのような状況下か考えてみた。
わかっている事
・ここはさっきまでいた場所ではない
・暗黒とはいってもなぜか目は見える
・僕たち以外の人はいないようだ(あまりにも静か過ぎる)
・祐樹はこの状況を楽しんでいる
一つ目の項目は周りを見渡せば一目瞭然だ。
壁がなくなり、代わりに永遠といっても良いような長い道のりが続いている。
二つ目の項目はよくわからない。
四つ目の項目は無視してもよいのだがあえて入れてみた。僕の怒りを受け取ってほしい。
そしてもう一つ…きっと僕の予想が正しければ僕たち以外にも不思議な力の使い手がいる…
「これからどうする?」
「まずここから動こうよ!」
ピクニックにでもきたのなら僕だってそうしたい。
「方向もわからずに動くのは危険だ。」
言ってはみたものの他に考えが浮かばない。
そのとき背後から物音がした。
「誰だ!?」
「かわいそうに…闇に飲まれてしまったのか」
祐樹をかばいながら一歩後ずさりする。
「闇とは…ここのことか?」
おそるおそる聞いてみる。
「竜?誰と話してるの?」
何を言ってるんだコイツは…
目の前にいるいかにも怪しげな人が見えないのか!?
「ふざけるのもいい加減にしろ!」
「ふざけてなんかないよ!」
え…?
「そう…私は君の頭の中に直接入り込ませてもらっている。そして君とこうやってはなしをしている。」
何なんだこいつは…。
「私はベイン。闇ギルドの長。君たちの目はどう考えてもここにふさわしい目とはいえない。たまたま私が通ったところに歪が生じ、迷い込んだというところだろう。」
「なぜ…僕だけに話しかける?」
「何!?そんなこともわからんのか?どう考えても話が通じそうなのはお前しかいなかろう。」
あぁ…ベインの言うことに大賛成だ。
「僕だけってなんのことだよ!」
まだ喚いている祐樹に言う。
「ゴメン…よくわからない…少しほうっておいて。」
そういうとすねたようにしゃがみ込んでしまった。
「まぁ君たちはまだ世界を何も知っちゃいない。それに私は今はかなり機嫌が良い。いつもなら…いや、また会えたら会おう。」
「うわっ!」
「なんだ!?」
突然まばゆい光に包まれた。
と思ったらもといた場所に戻っていた。
「なんだったんだ?」
「わからない…」
「それより竜…頭大丈夫??」
一瞬ぶん殴ってやろうと思ったが祐樹にはさっきのことは見えてなかったらしいので仕方がない。
「あぁ。大丈……」
おいおい…やめてくれよ…
心の中で願いつつ祐樹に尋ねる。
「何かおかしくないか?」
「また!?」
もとの基地に戻ったと思ったらまただ。静かすぎる。
「今度は何色だ…?」
窓にかけていった祐樹に不安MAXで聞く。
「純白だ…。」
もうすでに窓を通り越して基地に入ってきている。
数秒後、一点を除いた同じ世界が広がった。純白という一点を…。
「まったく…なんなんだ。」
「今日はすっっっっごい楽しい日だね!!」
なんて能天気なやつだ。
今、横を風が通った気がした。
「今、風吹かなかった?」
「僕もそう思う。」
久しぶりにまともな会話が成立したような気がする。(気のせいか…)
「あら。やっぱり術者さんだったのね。」
またかよ…と思う前に体を身構える。
「そんなに硬くならなくていいわ。私はアリス。ギルドの長よ。」
少し長い髪の女の人が立っている。多分世間一般で言う美人という人だろう。
「ここはどこ??」
今回は祐樹も見えるらしい。
「ここは私のつくり出した空間よ。Aワールドって言うの。ここに入ってくるからには君たちは術者でしょう?」
「術者とはなんのことです?」
「とぼけても無駄よ。そこの笑顔に満ち溢れている子と君のことよ。特に君は不思議な力を持ってるわね。」
笑顔に満ち溢れている?
隣を見るとまるで天国の極楽浄土を信じてよかったと言わんばかりの表情をした祐樹がいた。
こんな状況で…とは思ったがまぁいい。これからは気にせずいこう。
「まったく話が見えてこないんですが…」
「僕はわかったよ!ずばり君は良い人だ!」
確かにそうだろうが……絶えろ僕。
「そうね。私は少なくともあなたたちに危害を与えることはないわ。こんなところで話すのはなんだからちょっと場所を移しましょ。」
そういった次の瞬間、僕と祐樹は消えた。
連載2話目です。読んでいただき、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。