イメージ
はぁ…つまんないや…
動かないと、こんなにつまらないものなんだ…
かといっても動くとこもあまりできない。
はぁああ…
「こんなんじゃ余計体に悪いよぉ…」
ぐっ…
傷が疼く…
この傷、毒でも入ってるんじゃないのか…
竜はなんか修行してるっぽいし。
置いてかれたら怖いなぁ…
はぁあああああ…
「ほらほらっ!もっと気合込めて!」
「んぐぐぐぐぐううぅぅ…」
立ったままの状態で地面を分解しようとする。
少しだけ地面が消えてきた。
「その調子よ!もっと力を練り上げて形成まで持ってく!」
精一杯の力を出している…つもりだ…
原子を立方体に組み立てる。まだ完璧ではないが、ぼんやりと形ができてきた。
よし。
あ……崩れた。
「こらっ!気抜いちゃだめでしょ!」
「ふぅ、…ふぅ…はぁ…アリス…これ、逆に無駄な力、使ってる…気、するんだけど…」
僕は…じゃなかった…オレは地面に大の字で倒れこむ。
空はとても澄んでいる。とは言え、真っ白だが…
「その無駄な力を使わないようにすれば、きっとできるわよ。そのための修行だし、いきなりできるほうがおかしいわ。」
そのとおりだ…
「なんか、コツとか、ないんですか…?」
「コツねぇ…」
アリスが考えているうちに息を整える。
「コツは人や、術によって違うわ。私は…そうね。昔、新人だったころは、空気中に真っ直ぐできれいな直線を頭のなかに描いて、そこから張り裂けるようなことをイメージしたわ。」
「それってアリスの術限定ですね…」
「そんなことは無いわよ。あなたの場合だったら術をかけるものと、自分を細い直線で結んで、そこに力を流し込むようにするのをイメージしたらどうかしら?」
おお!それはいい考えだ。
「あくまでも私のイメージだからあなたに合うかどうか分からないわよ。」
「やってみます。」
「細いほうが力の量が少なくて済みそうな感じがするわね。」
なんだか滅茶苦茶な理論だが、細い糸を想像する。
僕の手と、床を細い糸で結ぶ。
もちろん、曲線にならないように真っ直ぐをイメージする。
そっと糸が切れないように力を流し込む。
ぇ?
「うわっ!」
「っきゃっ!」
力が地面に到達したときだった。
突然、僕たちの立っていたところが半円状になくなっていた。
「ちょっと!ちゃんと力の制御しなさいよっ!」
「ゴ…ゴメン。」
さっきアリス、「きゃぁ」って言ったぞ…
あまりにも似合わない…
「私のイメージがあなたのイメージにピッタリだなんて…よかったわね!」
嬉しくて、思わず口元が緩んできた。
「あとはぼ…オレが力を制御するだけですねっ!」
アリスがふふっと笑う。
「今日はここまでにしましょう。しっかり寝て、魔力を回復しなさい。明日に備えてね。」
最後まで読んでくださり、有難うございました。
次回も修行の続きです。
徐々に力を使えるようになっていきます。
見守ってやってください。