01話
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崩れた城の中、倒れている人たちを除いて二人の男が対峙していた。一人は肩で息をしており今にも倒れそうだが、片方の大柄な男は息も乱れておらず冷静に周りを見回す。
「ふむ・・これで残ったのは貴様だけか」
そう言うと同時に魔力を体にめぐらせ次の攻撃の準備をする。
「なぜ私の命を狙ったのかは分からんが命を狙った以上生かして返すわけにもいかん。」
「なんだと?!!?ふざけるな!!!てめぇは魔王だろう!!!てめぇを殺すのは神の御意志だ!!てめぇらみたいな魔族は殺すのがあたりまえだろうが!!っ・・!」
大柄な男の言葉に怒鳴って返すがもうすでに体は限界でその場で倒れこむ。
「・・・魔族だからだと?・・・・ずいぶんとふざけたことを・・・・」
倒れた男はもう喋る力もないのか、なにも言わずその場で身動きすらしない。その様子を見て魔王と呼ばれた男は倒れた男の頭を魔力で強化した拳で振りぬきトドメをさす。
「・・私が生まれて200年は経ち、その間人族とは関わらずに生きたというのにそれでも貴様ら人族は我ら魔族を滅ぼさんとするか」
「・・・・神の意志が魔族を滅ぼすことだと言ったな?その神はいったい・・・・・・」
しばらく考え込むが答えは出ない。
しばらく時間が経ち、魔王と言われた男はその場を離れようとするがその時、ブスッ
という音とともに自分の胸のあたりに違和感を感じる。
「・・!な・に・!?」
振り返ってみると先頭を潰したはずの男が背後に立ちその手に持った剣で自分の胸・・・心臓を貫いていた。
「ば・・バカな・・!!貴様が・・な・・ぜ・・生きて!?・・その前に・・私が気配・・すら・感じぬとは・・・いった・い!?」
そういいながら、自分を刺した男をよくみるがいつの間に頭は元通りになっていて、体中の傷も治り、先まで喋る力すらなかった男とは思えぬほどだった。
「アッハハハハ!!言っただろう!神の御意志だってな!神が命令して勇者の俺が来たんだ!てめぇなんかに負けるわけがねぇーだろうが!!!神の加護ってやつだよ!」
「・・・くっ・・これまでか・・」
いくら魔族が人族の身体能力の数倍優れた力を持とうが・・その魔族の中で最強の魔王だろうが心臓を貫かれてしまえば助からない。
なぜこの勇者が急所である頭を潰されて生きているのか、
その前の戦いで負った傷すら全て消えてるのはなぜか疑問に思ったが、もう考える時間すらなく、魔王は意識を失った。